11/14/2010

Twilight Saga: Eclipse

エクリプス トワイライト・サーガ(☆☆)

あっという間にシリーズ3作目。原作は4部作だが、最終章は2本に分けて映画化される模様。

今回、映画本編の始まる前に、特別編集「これまでのあらすじ、設定ご紹介」が流された。レンタルだろうと放送だろうといくらでも前作を見る機会がある今の世の中、正直、この映画を「見たい」と思って劇場にくる客が、1~2作を見ていないというのもレアなケースだろう。してみると、この前説は、こんな映画には興味もないのにデートで彼女に付き合うことにした男の子向け、なのか、昨今物忘れが激しくなってきて、全部見てきたくせに細かい設定なんざ覚えちゃいない当方みたいな観客向けっていうことだろう。

さて、今回のお話しである。2作目でいったん離れ離れになってひと騒ぎあったものの元の鞘におさまった主人公カップル。舞台は再びシアトル郊外の田舎町。高校を卒業したら前作での約束通りヴァンパイアの一員になると決心しているヒロインに、自分と同じ苦しみを与えたくないと苦悩する優等生彼氏。そこに、「俺と一緒になればそんな苦しみとは無縁だぜ」と上半身裸の人狼君が割って入り、あらためて3角関係ごっこがぐだぐだと展開される。一方、1作目で敵対した勢力の生き残りである赤毛のヴァンパイアがしつこくヒロインをつけ狙い、とばっちりを受けた草食ヴァンパイア一族と人狼一族が共闘し、赤毛が作りだした凶暴な戦闘部隊と一線交えることになる。

まあ、なんだ。乗りかかった船なので、次は少しくらい面白くなるか、盛り上がってくるか、とちょっとだけ期待しながら見続けている。が、予想通り、ちっとも面白くならないので困ったものだ。

今回は三角関係がヒートアップし、ヒロインを守るために嫌々ながら共闘したり、半裸男に寝取られを許したりというのが見せ場だろうか。また、人狼一族に聞かされた一族を守った女性の勇気ある行動、吸血一家から聞いた南北戦争期に恋愛感情を利用された苦悩などのエピソードが現在とシンクロしてくるドラマ性もある。本当に見るべきもののなかった前作よりは内容が濃い。

が、これはもう、原作の問題だと思うのだが、そもそも、おはなしがそれほど面白くないんだな。少女漫画なんだからそんなものといわれたら返す言葉もないが、そもそも自分中心で身勝手なヒロインに好感を持つことができない。人狼にも期待させる素振りを見せたり、振っておきながら自分や家族のみを守るために利用しようとする性根が悪い。こんなやつはさっさと吸血されて魂を失ってしまえばいいのである。

そんなヒロインを苦悩の表情で見つめるばかりの彼氏と、諦めの悪い半裸の人狼については、まあ惚れた弱みというか、自業自得のうちだと思うのだが、その仲間や一族は、ヒロインさえいなければ起こらなかった争いに巻き込まれているようにしか見えない。いっそこの小娘さえ殺してしまえば全てが円満になるんじゃないか。

前作でスケールが世界規模に大きくなるのかと思いきや、またしてもシアトル郊外の田舎町という小さな舞台での小競り合いに収束していくあたりも、なんだか、もうどうでもいいから勝手にやってろ、という気分になってくる。

しかし、このシリーズは作り手にとっては鬼門だろう。ハイペースでの続編製作を可能にするため、毎回監督を替えているのはご存知のとおりだが、そこそこまともな映画を撮れるはずの人たちが、次々と評判を落としている。前作では『アバウト・ア・ボーイ』のクリス・ワイツが、本作では『ハード・キャンディ』のデイヴィッド・スレイドが犠牲になったが、次回作はホラーものにも造詣の深い『Gods and Monsters』のビル・コンドンが登板しているということだ。ああ、ビル・コンドン!ご愁傷さま。。。

0 件のコメント:

コメントを投稿