2/06/2010

The Private Lives of Pippa Lee

50歳の恋愛白書(☆☆)


敏腕編集者である年の離れた夫(アラン・アーキン)と共に、リタイアメント・コミュニティに越してきた主人公(ロビン・ライト・ペン)が語るこれまでの人生は、一見して穏やかで平穏に見える現在の彼女からは想像し難いものであった。一風変わった若い男(キアヌ・リーヴス)の出現や、自らの睡眠障害、夫の浮気などの出来事をきっかけに大きく変わり始める生活と平行して、彼女の人生を決定的に運命付けた過去の衝撃的な事件が観客にあかされる。

アーサー・ミラーの娘で(ダニエル・ディ・ルイスの妻である)レベッカ・ミラーが自らの原作を脚色し、監督した作品である。アンサンブル・キャストから実力相応の演技を引き出せているので、楽しめないことはない。が、ストーリー・テラーとしては未熟。

退屈なリタイアメント・コミュニティに越してきたことを契機に始まる主人公の異常行動、抑圧されてきた感情や人間性。主人公が過去を語りながら、あるところで目の前の事件と、過去の決定的な出来事が劇的に交差する。個々のエピソードが平板に羅列されているので物語の骨格となる構造、違う言葉でいうなら、話のポイントがなかなか見えてこない。もちろん、原作者でもある本人の頭の中ではきれいに構造化されているのだろうが、この人にはそれを観客に向けて効果的に語ってみせる脚本の、そして演出の技術がない。

そんなんだから、こんな邦題をつけられる羽目になる。欲求不満なロビン・ライトと、若いキアヌの火遊びがメインだと観客を騙してみても、それに釣られるような観客が望むものはここにない。

ロビン・ライト・ペンが実際の年(43歳)よりも疲れめに見えるのは昔からのような気がするが、彼女より2歳ほど上のキアヌ・リーヴスが随分若く見えるのが驚きである。アラン・アーキンが絶品。その他、ジュリアン・ムーア、モニカ・ベルッチ、ウィノナ・ライダー、マーク・バインダー、マリア・ベロと、この規模の作品にしては脇役が豪華。ウィノナ・ライダーの再起が少し嬉しい、かも。

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