4/23/1999

Pushing Tin

狂っちゃいないぜ!(☆☆★)

航空管制官の話、ではなく、たまたま管制官という職業に付いている主人公の、仕事・ライバル・浮気・夫婦関係・爆弾テロ事件・スランプ・友情を切り取ってみせるオフビート・コメディである。まあ、魅力的な失敗作、くらいの感じだろうか。

内面の成熟が足らない男を演じさせたらこの人、ジョン・キューザックが、自他ともに認めるNYのやり手航空管制官を演じているのだが、あちこちの管制塔を渡り歩いてきた風変わりな男の一流の仕事ぶりにライバル心を燃やし、あろうことか相手の妻に手を出したことで話がややこしくなる。

航空管制官という仕事を描くのがメインの映画ではないことは先に書いたとおりだが、この仕事のものすごいプレッシャーとストレスの強さを垣間見ることができて、興味深い。それを背景として埋め込んでしまったことが少々もったいないように思う。

脚本はTVの人気コメディショー『Cheers』 『Taxi』のプロデューサー、グレン・チャ-ルズの作で、1本の映画にするのもいいけれど、同じ舞台設定で、シットコムみたいな形式で延々やることもできそうだ。そう考えてみると、本作の主要なキャラクターも、TVドラマに使えそうなキャラクターの立ち具合である。

そのキャラクターを演じているのが前述のジョン・キューザックのミステリアスなライバルに、怪優ビリー・ボブ・ソーントン。そのアル中気味の妻にアンジェリーナ・ジョリー。主人公の妻にケイト・ブランシェットという顔ぶれである。ここ数年で名前が売れてきた、演技達者なキャストのアンサンブルだ。アル中気味で精神的に不安定になっている役回りのアンジョリーナ・ジョリーに演技的な見せ場があった。この人は化けるよ、多分。

『フォー・ウェディング』、『フェイク』で売りだした英国出身のマイク・ニューウェルの演出は、コミック的に描かれているキャラクターから、リアルな人間味をうまく引き出して、少し地に足の着いたコメディに着地させている。

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