6/12/2010

From Paris with Love

パリより愛をこめて(☆☆★)

007にあやかったようなタイトルだが、それ以上の深い意味はない。ロシアに対してパリ、日本語カタカナだと語呂が悪いよな。パリス、だと締まるんだけど。

ヨーロッパ・コープ&デジタル・ファクトリー、リュック・ベッソン謹製の軽量娯楽映画量産工場が、『96時間 (Taken)』を成功させたピエール・モレルを再度監督に起用し、ハリウッドスターであるジョン・トラボルタを招いて、パリを舞台に展開される単純明快な娯楽アクション映画。こういうのが好きな人ならそこそこ暇つぶしになる、といった程度の出来栄え。

主役はジョナサン・リース・マイヤース演ずる大使館員で、CIAの工作活動に憧れを持つ若造。ここに、粗暴で無茶苦茶なトラボルタ演ずるエージェントが現れ、テロを阻止するために行動を共にすることになる、という話。突然現れた迷惑者に振り回される主人公、というスタイルで、コンビものの一定型を押さえ、パリの表と裏を走りまわり、頭を使うよりは体を使ってドッカンばっかんやりつくすタイプの作品である。仏映画ではあるが、もちろん米国+世界市場を狙った企画である。ただし、主人公の恋人にかかわる終盤の展開は米映画だったら採用しないんじゃないか。少なくとも違う出口を考えるだろう。

トラボルタの演じるキャラクターが、わざと(目的を持って)振舞っているのを込みで考えても、粗野でうるさく強引で乱暴な感じの一本調子で魅力がない。トラボルタの演技は近作の『サブウェイ123・激突』などにも通じる方向だが、キャラクターに合わせてのことか、これまた一本調子で飽きてくる。まあ、「ひとの国にきておいて、我が物顔で傲慢・勝手に振舞うデリカシーゼロなキャラクター」を通じて、海外でも我が物顔で傲慢な米国人を揶揄しているんだろう。こういう視点が入ってくるのが仏映画たる所以で面白いところだが、それがキャラクターを魅力的にしているか、映画を面白くしているかどうかといえば、別の話だと思う。

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