6/12/2010

Iron Man 2

アイアンマン2(☆☆★)

マーヴェルが着々と進めている「アヴェンジャーズ」映画化作戦の、いまとなっては中核としての地位を不動のものにした『アイアンマン』の第2弾である。引き続きキャプテン・アメリカだの、マイティ・ソーなどが映画化される予定、マーヴェル的に、ここはきっちり成功しておきたいところだろう。

ご存知の通り、前作は期待を上回る面白さだった。何が面白いといって、ガレージでアイアンマン・スーツをバージョンアップさせながら完成させていく Do It Yourself な感覚とか、主人公のちゃらんぽらんなキャラクターとか、もちろんそれを演じるロバート・ダウニーJr. その人の個性が渾然一体となった演技とか、気楽に楽しめるコミック原作のヒーローものとしての絶妙なバランス感覚とか、あまり欲張らずにコンパクトかつスピーディにまとめ上げた娯楽職人的センスとか、まあ、挙げればきりがない。そういうさまざまな要素が絡まって、存外に楽しい1本であった。そのことには異論はないだろう。

続編はどういう手でくるのか?それが今回の楽しみの一つでもあったが、蓋を開けてみれば非常にオーソドックス、予算にモノを言わせた「派手な物量作戦」なのであった。こういうのはダメな続編にありがちなパターンである。が、どうだろう。そもそも小難しい映画じゃないのだから、むしろ、こういうあっけらかんとやらかしてくれるのも悪くないんじゃないか。言葉を換えるなら、「分をわきまえたもの」とでもいえないだろうか、と思うのである。前作の面白さの根本的なところに、あまりに複雑になってしまった「コミック・ヒーローもの」を、本来あるべき単純な世界へと引き戻したことがあったとすれば、成功した娯楽映画の、続編のシンプルな王道をやるのが本作のあるべき姿、なのかもしれない。

そうであるからして、映画の完成度では前作に遠く及ばない。が、これはこれで楽しい映画である。ロバート・ダウニーJr.がいて、強い敵がいて、新しいキャラクターや新型メカがいっぱい登場して、派手な見せ場が盛りだくさん。正直、相当よくばった「全部盛り」である。

ジョン・ファブローという人の偉いところは、これだけの内容を2時間(124分、ちなみに前作は125分)の尺にきっちりと収めてみせるところだ。こういう職人的な見識と手腕は、大作といえば、大した内容でもないのにやたらとダラダラ長いのが幅をきかせる昨今にあって、高く評価したいポイントである。

逆に、残念に思うことがあるとすれば、主要キャラクターで役者の交代があったことだ。ドン・チードルは嫌いじゃないが、顔の形といい、体格といい、テレンス・ハワードのほうが役にあっていると思うな。

予告編をみたときには、なんだか汚らしい格好をしたミッキー・ロークが半裸で暴れているだけで不安にさせられたが、この男、自分が暴れるだけではない知能犯なのであった。クライマックスでは陸海空各種タイプを取り揃えたロボット軍団が大暴れする。大方の予想どおり、重武装をまとった「ウォーマシン」も登場し、ミッキー・ロークも巨大なアーマーを身にまとって参戦。等身大ロボット大激突映画というジャンル(?)では、フィル・ティペット渾身のゴー・モーションによるクライマックスが素晴らしい金字塔『ロボコップ2』に並ぶ見応えであった。そういうのがお好きなら楽しめること請け合いである。

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