6/19/2010

Prince of Persia: The Sands of Time

プリンス・オブ・ペルシャ 時間の砂(☆☆)

ジェリー・ブラッカイマーがゲームを元ネタに作ったアドベンチャー作品である。それだけ聞くとオリジナリティのかけらも感じられないが、タイトルにあるように、今日、アメリカの天敵でもある中東はイランの地に興ったペルシャ帝国の「王子」を主人公として、バランス感覚とエキゾチシズムを前面に出しているあたりがヒットメイカーの面目躍如たるところであろう。(もちろん、ペルシャだろうがなんだろうが、登場人物が英語で話すのもお約束である。)まあ、残念ながら興行的には成功を収めたとはいい難いが、こういうある種のチャレンジは基本的に歓迎したい。

偉大な王の眼鏡にかない、王子として養子に迎えられて育った青年は、王の暗殺の罪を着せられて終われる身となる。背後には、過去にさかのぼることを可能にする不思議な砂と短剣を我が物にし、権力を手中に収めようとする者の陰謀があった、というお話。主人公は、タイトルにもある「時間の砂」の秘密を握る小国の王女と共に陰謀に立ち向かう。

・・・のだが、まあ、なんだかね。ストーリーがそれほど面白いわけでもないし、脚本がそれほどよくかけているわけでもないし、キャラクターに特段の魅力があるわけでもないし、ビジュアルがものすごいわけでもないという、可もなく不可もない軽量な娯楽映画である。話の展開にしたって、主人公の叔父、つまり、王の弟をベン・キングスレーが演じているだけで読めてしまうわけで、そこをもう一ひねりしようなどという小細工もない。暗殺者、アサシンの語源ともなったペルシャの暗殺者集団が登場するところは少しワクワクしたが、その程度か。

監督は『ハリーポッターと炎のゴブレット』で、VFXを使ったファンタジー映画でも大丈夫だと証明して見せた英国出身マイク・ニューウェルが起用されている。この人、信用できる腕前の持ち主だと思っていて、現に、「炎のゴブレット」にしても、シリーズ中盤では一番出来が良い作品だった。ただ、こういう大規模な作品になると、彼の腕がどうのというレベルではなく、全体のパッケージングに左右されるところが大きいようにも思う。次は違う路線に戻ったほうがいいんじゃないのかね。

ジェイク・ギレンホールのような役者がこういう作品の主演に抜擢されるところが面白く、体を鍛え上げて頑張っているのは良いと思うのだが、いかんせん、ちょっと線が細い。ヒロインのジェマ・アタートンは、演じるキャラクターに魅力がなく不発。アルフレッド・モリーナも出演しているが、才能の無駄遣い。

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