7/17/2010

The Last Airbender

エアベンダー (☆★)

困ったなぁ。。。Mナイト・シャマランは贔屓の監督なのである。世間的な人気はともかく、毎回楽しませてもらっているし、今度はどんなのを作ってくれるかと、新作を心待ちにしている監督の一人なのだ。

そのシャマラン、今回の新作は、(それなりに人気があるらしい)アニメ作品を原作とするお子様ファンタジー映画、である。

『レディ・イン・ザ・ウォーター』、『ハプニング』と、批評的、興行的な失敗が続いているため、これまでのように強気で企画を押し通すことはできない、そんな理由があってのことであろう。(ちなみに、私は2本とも嫌いじゃないし、失敗作とも思っていない。)たとえお子様ファンタジーであったも、ここで確実なヒットを1本モノにして、颯爽とオリジナル企画路線へと回帰してくれたらファンとしては文句はないところなのだが、、、、またこの作品がな、出来栄えが微妙なんだ。

こんな映画に付き合う観客も多くはないと思うので、一応、設定とお話しをざらっと書くとこんな感じ。

火・水・気・土の四元素にわかれた各種族が国家を築いている世界。それぞれの種族には、火・水・気・土を操る特殊能力者(ベンダー)がいる。四元素全てを操る能力を持ち、精霊界と人間界を仲立ちできる者(アバター)というのが輪廻転生によって生まれてきて、世界の秩序を保っているた。・・・のだが、この「アバター」が失踪してしまったことから世界のバランスが崩れてしまった。「火」の国が野心をむき出しにして勢力を伸ばし、混沌とした状況に。そんな時、100年ぶりに本来「アバター」となるべきであった少年が発見される。この少年が自らの使命を自覚し、一人前になるための修行を重ねつつ、「火」の国の野望を打ち砕いていくのだ・・・という感じ。

確かに、面白くなりそうな要素は、ある。アニメは人気があり熱狂的なファンもいるようだ。中国武術的なものと、VFXを組み合わせたアクションも新感覚でいい感じだし、そのVFXがわりかし頑張っている(が、あとで変換した即席3Dの出来栄えは酷いものらしい・・・2Dで鑑賞して正解だった)。中国・インドあたりをイメージした、つまりは、白人中心ではない世界観は、ハリウッド大作としては稀有な例といえ、今後の新しい潮流の試金石になるかもしれない。(・・・とはいえ、主要キャストに演技のへたくそな白人俳優を起用するところがよく分からないところ。)

が、はっきりいって面白くない。

何よりも、設定を説明し、話を消化することで精一杯の脚本と演出が、物語世界を矮小化し、キャラクターたちを薄っぺらにしてしまった。また、キャラクターを演じる俳優たちも大根で見ていられたものじゃない。魅力のないキャラクターがいきあたりばったりに右往左往しているだけで、作品世界の存亡をかけた戦いの幕が切って落とされた、というスケール感が伝わってこないのでは、観客としても「まあ、勝手にやっていてくれ」ってなものである。

ちなみに、主人公の少年は「気」の国の出身で、その他の技には精通していない。ひとつずつ異なる技を習得しながら「火」の国と闘っていくという筋立てだ。冒頭、ご丁寧に「BOOK 1」だかなんだかのテロップが出るから、タランティーノの映画みたいに Chapter を区切って語っていくのかと思いきや、本作は第一部ですよ、という意味で、「水」の技を習得して、とりあえずの敵の軍勢を撃退するところまで。端から3部作かなんかのつもりで、次(があれば)は土の技をマスターし、最後は火、になるんだろう。まあ、それこそ「勝手にやってくれ」である。(もちろん、打ち切りになったとしても全く驚かないし、残念にも思わないけどね。)

0 件のコメント:

コメントを投稿