7/08/2011

The Hangover Part II

ハングオーバー!! 史上最悪の二日酔い、国境を越える(☆☆☆)


物量2割増だが、面白さ3割減。昨今、そんな常識が必ずしも通用しないことはよく分かっているけれども、昔から柳の下を漁る「続編」なんていうものは、その程度のものだというのが定評ではなかったか。スタッフ、キャスト、フォーマットはそのままに、舞台をラスベガスからバンコックに移した本作は、ギャグも(アクションすらも)一層過激さと不謹慎さを増して許容範囲の限界を押し広げているのだが、結局、前作にあった新鮮な驚きとでもいうべきものが失われた分だけ、面白さも7掛けが限界といった感じである。仕方がない、だって、基本的に同じことの繰り返しなんだもの。

しかし、他方で「基本的に同じことを繰り返す」ということそのものが、転じて「お約束」という名の笑いに通じることもある。クリスマスになると派手な事件に巻き込まれる運の悪い男がいたように、仲間が結婚するたびに羽目を外して記憶を失う、ということがどれほど不自然でありえないことかどうかは別にして、お約束を楽しむ、お約束で楽しませるというのは一つのありかただろう。

さすがに前作(ま)での出来事がなかったことにしてゼロにリセットするわけにはいかないので、登場人物たちは同じ事態を引き起こさないように用心して行動する。もちろん、そんな用心も徒労と化すのは最初から分かっていることであるが、この手順を踏む、ということそのものが重要なお約束のうちである。仮にこれが回数を重ねるなら、この手順を念入りに踏むというプロセスそのものが笑いを増幅する仕掛けにもなるだろう。

そんなことはともかく、本作には1つ、とても良いシーンがある。それは、昨夜の行動を思い出すためにタイの寺院で瞑想をする場面だ。みな、昨夜の出来事など頭に残ってはいないのだが、ザック・ガリフィナキス演ずるトラブルメイカー、アランの脳内には、少々驚くべき形で回想が蘇ってくる。この回想が、とても優れたアイディアで映像化されていて、爆笑と同時に、なんというか、ある種の感動すら呼ぶものになっているのである。関わりたくない迷惑男であるが、どこか憎みきれない発達障害を抱えた男。彼の目に映っている世界がいったいどのようなものなのか、そのエキセントリックな言動がいったい何に起因するのか、いやはや、短いシーンながら、ものすごい説得力と納得感を得ることができた。未見の方は、ぜひ、ここで目からウロコが落ちる気分を味わって欲しいと思う。

で、さらなる続編はあるのか。本作も十分なヒットを飛ばしたし、舞台を変えれば「観光映画」、「ご当地映画」的に、それなりとはいえ、新鮮な空気を吹き込めることも証明できた。そうはいっても、中心となる4人のうち3人までが既婚となったいま、次はどんな一手があるのだろう。ザック・ガリフィナキス演ずるアランに伴侶を作るのはなかなか難度が高そうだ。そういえば、運の悪い男の「クリスマス」というお約束は3作目以降は反故になったんだっけ。お約束を繰り返すにしろ、なにか新しい手立てが必要そうだ。

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