7/17/2011

I am Number Four

アイ・アム・ナンバー4(☆☆☆)

途中から始まって途中で終わるだの、最初からシリーズ化に色気たっぷりだの、大仕掛のSFアクションを期待したら若いキャストが女の子とイチャイチャしてジョックス野郎の腕をへし折る映画だっただの、いろいろなことが云われている本作だが、まあ、それは全て事実だ。

しかし、なんでそれじゃあいけないのか? と、ここはひとつ開き直ることとしたい。だって、これ、期待するものを間違えなければ、そこそこ面白いのである。

本作の原作は若い読者むけの軽い小説、いわゆる「YA(ヤング・アダルト)」小説の類で、6部作構想といわれている小説「ロリエン・レガシーズ」シリーズ第1作の映画化である。この第1作は既に邦訳が出ているが、2作目はこの夏に本国で出版ということなので、そもそも原作シリーズも始まったばかり。出版前からドリームワークスが青田買いした権利を、(『アイランド』、『トランス・フォーマー』の)マイケル・ベイ製作、(『ディスタービア』、『イーグルアイ』の)DJ・カルーソ監督という、まあ、昨今、ドリームワークスと縁の深い人脈で映画化したということらしい。

悪い異星人に侵略された星(ロリエン)の最後の生き残りたち・・・9人の特殊な能力を持った子供たちと、彼らを庇護する任務を負った戦士たちが、地球に逃れ、密かに暮らしている。特殊な能力は、大人になると発現するという。ロリエンを侵略して謀略の限りを尽くした敵は、次なる侵略のターゲットを地球に定めたのだが、この特殊能力者たちの潜在的な力を大変に恐れている。そこで、まずはその9人を探し出し、順番に抹殺を図ろうとしており、映画の冒頭で3人目を血祭りに上げる。本作の主人公「ナンバー4」は、次のターゲットが自分であることを知る。この物語は、そこで幕を開ける。

それだけだと、なかなか大掛かりなSFアクションのように聞こえるが、本作の一番の魅力はそこではない。主人公らは思春期まっ最中で、庇護者のいうことを聞かず、オハイオあたりの田舎町でハイスクールに編入するのだ。かくして、SFアクションが「ハイスクールもの」へと転調を遂げるのである。ジョン・スミスと名乗る「謎の転校生」は、おとなしくしているという最初の約束なんかどこへやら、編入早々「写真好きの文化系女子」といい雰囲気になって、「元彼のジョックス野郎」の目の敵にされてしまう。成り行きで仲良くなった変わり者は「父親がUFOにさらわれたため俺の半生はX-Filesのようなもんだと嘆くギーク」だ。見ればわかるが、「ハイスクールもの」としては、『トワイライト』あたりよりは、よほど丁寧で真っ当な作りになっている。

そんなわけで、この作品。バランスからいうと、ハイスクール青春もの半分、SFアクション半分という感じ。脚本に「ヤング・スーパーマン」とか「バッフィ」とかの脚本家を充てている人選をみれば、作り手の狙いが明確だろう。SFアクションとしてみれば、知らない俳優ばかりで安上がりに作ったように見えるだろうが、「ハイスクールもの」ジャンルだと思えば、フレッシュな「将来のスター候補」を捜すのも楽しみのうち、となる。ヒロインのダイアナ・アグロンはすでにTVドラマ『Glee』でお馴染みの顔、強力な助っ人となるもう一人の戦うヒロイン、テレサ・パルマーあたりはこれからもっと人気が出るんじゃないか。

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