6/05/1998

Armageddon

アルマゲドン(☆★)

世界各地に突如落下をはじめた小隕石群は単なる前触れに過ぎず、18日後には地球全体の壊滅をもたらす巨大な本体が落下するという事態に。NASAは「隕石に穴を堀り、内部で核弾頭を炸裂させることで隕石を破壊、そのエネルギーで地球の衝突コースから逸らせる」という作戦を決行することにする。穴掘りの専門家として招聘されたのは石油採掘などに長年かかわる主人公とその仲間たちだった。出演はブルース・ウィリス、ベン・アフレック、リブ・タイラー、スティーブ・ブシェミ、ウィル・パットン、マイケル・クラーク・ダンカン、ビリー・ボブ・ソーントン、ピーター・ストーメア、オーウェン・ウィルソンなど。脚本はJ.J.エイブラムス、監督は『ザ・ロック』で成功したマイケル・ベイ。

とても退屈で空疎なバカ映画。カネがかかった豪華なBGV以上の価値はない。

もちろん、ヒット作の公式を知る商才に長けたプロデューサー主導の映画である。離婚に絡んだ借金でお金が必要なブルース・ウィリス札束で釣り、若手の注目株やインディペンデント系の映画の顔を絡ませたキャスティング。リブ・タイラーつながりでエアロスミスに主題歌を書かせ、刺激の強い映像で適度にドッカンバッカンやらかす。ジェリー・ブラッカイマーときたら、こういう企画が抜群に巧いプロデューサーの一人である。

ストーリー的には「一大事に借り出された全く不釣合いの男(達)」という意味で、同じ監督の『ザ・ロック』を思わせもする、が、ドラマ的には希薄。派手な映像の刺激になれてしまえば、大味で単調そのものの展開にはあくびが出る。しかもこれが長い。大作感は作品の長さで醸し出されるとでも思ったのだろうか。この内容で2時間半は苦痛である。

マイケル・ベイはこれまで同様、どう見せるかという点にこだわりを見せる。いわゆる「スタイリッシュ」な絵を素早いカットでつなぎ、意味のないスローモーションを挟み、なんだか知らないがとにかく派手に爆発する。ベン・アフレックとリブ・タイラーのラブシーンなどをみていると、この人はまさしくトニー・スコットの正当な後継者たらんとしているようにも見えるのだが、トニー・スコットのように作品に適した尺の中でストーリーをきっちり語る技術が足りないし、そういうことに興味すら持っていないのではないかとの疑念すら持ちたくなる。

SFチックなディテールもいい加減で、NASAもこんな映画に全面協力とクレジットされて問題にならないのか心配になってしまう。それとも、単に、人々の関心を宇宙に向けられるのならなんでも良いというスタンスなのだろうか。(1998/6)

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