6/03/1998

The X-Files: Fight the Future

Xファイル ザ・ムービー(☆☆★)

テキサスの田舎で子供が砂漠の中にあった洞穴に落ち、黒い液体に襲われる。どこからともなく現れた得体の知れない人々がそこに仮設基地を設営しはじめ、子供はどこかに連れ去られてしまう。一方、Xファイルの焼失をうけてテロ警戒の任務に駆り出されていたモロダーとスカリーだったが、その連邦ビル爆破事件の裏には、黒い液体にまつわる証拠隠滅を図ろうとする疑惑が隠されていた。

大人気TVシリーズ劇場版は、第5シーズンと第6シーズンの仲立ちをするつなぎのストーリーとして登場。TVシリーズと同じククリス・カーターが製作を手掛け、シリーズの鍵になるエピソードをいくつも手掛けたロブ・ボーマンが監督を務めている。

シリーズ中で展開されている、「本筋」に当たる作品。謎のウィルス・怪しい人々・陰謀・砂漠の真中の奇怪な設備・宇宙人・地下の宇宙船。スカリーのキャリアと命と両方が危機にさらされ、謎はすべてが明らかになることなく、チラ見せで物語の幕が閉じる。まあ、翌シーズンにむけた壮大な宣伝といってよい。

とはいっても、TVでは予算がつかないスケールの大きい撮影が行われたことも含めてファンにとっては楽しみの多い一本ではある。陰鬱な雰囲気と世界観のなか、ちょっとしたユーモアやサービス精神のある遊びを入れる余裕を失っていない。しかし逆の味方をすれば、それだけの映画でもある。

もちろん、一応シリーズを見ていなくてもついていける程度の話の枠組みはある。しかし、まだ数年はシリーズが継続予定とあって、振られた謎が何一つとしてカタルシスのある結末を迎えないので、独立した映画としてみるなら必ず欲求不満が残るはず。なにせ、作りが「連続ものの1エピソード」なのだから仕方ない。それに、スクリーンはでかくなっても、どこかコマーシャルのタイミングを計ったようなテレビ的演出が気になったりもする。15分おきくらいにタイトルが流れ、CMが入っても違和感がない。せっかくカネがかかっているというのに、意外なほどにスケール感の感じられない撮影も、なんだかTVっぽい。

月並みだが、これならば2時間スペシャルでいいんじゃないの、と感じるのは私がXファイルの熱心なファンではないせいだろうな、と少し寂しく思ったりもした。

0 件のコメント:

コメントを投稿