7/10/1998

Lethal Weapon 4

リーサル・ウェポン4(☆☆★)

蛇頭(スネークヘッド)による中華系不法移民、偽札作りに、個人的な血縁関係をからめた悪事・悪巧みを柱に据えて展開する物語に、お馴染みのリッグス&マータフコンビが立ち向かう。前作からしばらく時間があいて、久しぶりの続編登場だ。シリーズの新キャストとして、クリス・ロックとジェット・リー(リー・リンチェイ)。いつものメイン&脇役キャストが勢ぞろいで、製作ジョエル・シルバー、監督リチャード・ドナーも続投している。

本作のエンドタイトルでスタッフの集合写真などが流れ、一冊のアルバムにまとまるという趣向がある。これを「ちょっと勘違いしているんじゃないの?」と云うこともできるだろうが、大目に見ようよ。そこにある、和気藹々とした同窓会のような雰囲気こそが、本作の象徴なのだから。

作品の仕上がりは2より下、でも、3よりは上。しかし第1作のハードな雰囲気はもう遠い過去になってしまった。

「事件と向き合う2人の刑事」の物語から、次第に、おなじみのキャラクターたちの成長と変化、人間関係を描くことに焦点を移してきた本シリーズ。狂気の自殺願望男リッグスは仲間を得、家族を得て、本作では父親になるという試練を迎えるし、もちろん年もとった。"I am too old for this shit !"なんていうマータフの決まり文句がリッグスの口から漏れるのは、なんだか感慨深い。

シリーズ最初から引退の日を指折り数えていたベテランのマータフも、ズルズルと勤務を続けているうち、ついに娘の妊娠で「おじいちゃん」になる。ジョー・ペシ演ずるレオ・ゲッツですら、最後にはこのキャラクターの意外な一面を披露してくれる。

何分、第1作から10年以上の年月が経過しているわけで、その時間をスクリーンにもしっかり刻みつけてきた。本作は、それがもたらした幸福な成果であり、それが最もよくあらわれているのが、エンドクレジットなのである。 

そういう意味で、まあ、それより前にくっついている本編の内容のほうが付け足しといった感じでもあるが、先に書いたとおり、3作目よりは退屈しない。

クリス・ロックの参戦で、ますますコメディ・パートの比重が増しているのだが、シリアスとのバランスが悪く、ぎくしゃくしているのはマイナス点。敵は前作ほどの小物ではなく、ハリウッド本格デビューのジェット・リーも印象的に使っていて悪くない。もっとも、ジェット・リーのファンが見れば、悪役で、しかもこんな使い方かとがっかりするのだろう。

2作目以降、香港風のガンアクションを積極的に導入してきた本シリーズだが、今回は敵が敵だからかとうとうタガが外れてしまったようである。1作目のリアル・ガンアクション路線が好みの観客はため息を付くと思われるが、まあ、このあたりのアクションの見せ方の変化も、作品のトーンの変化と密接なつながりのある部分でもあり、ここで1作目のスタイルを踏襲するのも無理があろう。

あまり高望みをしなければ、楽しく見られるファンに向けてのサービスのような作品。さらなる続編の噂はあるけれども、これが最後になるんじゃないのかな。いや、それが一番良いと思うのだがどうだろう。(1998/7)

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