10/01/1998

Small Soldgers

スモール・ソルジャーズ(☆☆☆★)

この夏、全米のウォルマート店頭でタイアップ商品であるスモール・ソルジャー人形が山と売れ残った。本来、子供向けに玩具を売るために作った大予算のイベント映画なのに、やたらマニアックでバイオレンスになってPG13のレイティングをくらい、本来ターゲットとすべき観客が見られなくなっちゃったという、冗談のような自体を引き起こした、その監督の名は、ジョー・ダンテ。

しかも、スモール・ソルジャーたちは正義の味方じゃなくて、悪役なんだぜ。やってくれるじゃん、ジョー・ダンテ。ポスターで大々的にフィーチャーし、おもちゃ会社とタイアップを結んでおきながら、この顛末。

どんな映画になっているのか気になっていたが、どこもさっさと上映を終了してしまったので、観ることが出来なかった。近所の入場料が$2の2番館(?)にかかるという情報を掴み、喜び勇んで見に行ったのが大正解。

この映画、こんな話だ。

とある軍需企業が玩具会社を買収。そこで開発中だった「コマンド部隊」人形と「奇形の怪物」人形の両シリーズは、最新のシリコンチップを埋め込んだ、動き回り知能を持ったおもちゃとして完成され、出荷される。田舎町の玩具店に入荷したこれらの人形は、さっそく騒ぎの種になる。愛すべき怪物人形たちと友情を育んだ主人公は、彼らを殲滅すべくプログラムされたコマンド部隊と対決を迫られる。

迫り来るコマンド人形たち。その声を演じるのはアーネスト・ボーグナインとか、ジョージ・ケネディとか、ジム・ブラウンとか、どこの「特攻大作戦」だよというメンツ。それらの腕がもげ、首が飛び、足が台所のディスポーザーで砕けちり、しまいには芝刈り機でみじん切りという、『プライベート・ライアン』も真っ青のバイオレンス。しかも。死んでも死なないこの人形が名台詞、「戦いに敗れても戦争には負けない」!

おもちゃを破壊して遊ぶ極悪ジョー・ダンテの笑顔が目に浮かぶようだ。なんと清々しい。

要は、ダンテの代表作である『グレムリン』のセルフ・リメイクのようなものである。小さな田舎町、ぱっとしない少年、ちょっと素敵な少女(キルスティン・ダンスト!)、故郷に帰りたがる異形の友人(E.T.?)、そして、しつこく小賢しく意外に強力で危険な悪役の集団。観客層を考えてか少年と少女の年齢が下がっているくらいが目立った違いじゃないか。

筋立てでみれば、特に目新しさはない。田舎町での人形大戦争なので、スケール感も欠如している。子供だましと思うかもしれない。だが、ジョー・ダンテの悪ノリ悪ふざけ具合は相当なもので、実は「大きなお友達」こそ楽しめる、まことに怪作という言葉がふさわしい興行的大失敗作である。強力にオススメしたい。

0 件のコメント:

コメントを投稿