12/25/1998

The Faculty

The Faculty
パラサイト

ここのところ大人気、『スクリーム』、『ラスト・サマー』シリーズやTV『ドーソンズ・クリーク』で名を上げたケヴィン・ウィリアムソン脚本を、なんと、ロバート・ロドリゲスが監督したSF侵略学園ホラーの登場だ。

オハイオ州の田舎町にある平凡な高校で、ある日を境にして先生たち(原題=Faculty) の奇異な態度や行動が目立つようになる。これに疑念の目を向けた学園生活のはぐれ者たちが、背後にある恐るべき事実を目の当たりにしたときには、自らの生き残りと、謎の寄生生命体の蔓延阻止を賭けた壮絶な闘いに巻き込まれていた!

出演は、イライジャ・ウッド、ジョッシュ・ハートネット、クレア・デュバルら高校生を演じる若手スターと、『ターミネーター2』のロバート・パトリック、『キャリー』のパイパー・ローリー、ファムケ・ヤンセン、ビビ・ニューワース、サルマ・ハヤックらの「大人」たち。

「人の顔をした人でない何か」という題材は、ホラー・ジャンルの古典的なテーマだといえるだろう。この作品の先祖をたどっていくと、冷戦下で共産主義の恐怖が反映された『ボディスナッチャーの恐怖』であるとか、衝撃的だった『遊星からの物体X』あたりがあるだろう。そこに、最近何故か盛りあがりをみせているティーンズ映画の流れが合流したことで、ちょっと面白怖い仕上がりになっている。

その功績は、もちろんケヴィン・ウィリアムソンの脚本にある。ジャンル映画へのコダワリとともに、青春ものへの愛着もなかなかに強いこの男、往年の「政治的恐怖」が「高校の先生にたいする不信」に読みかえられ、はみ出し者の生徒たちが感じる「普通」の学園生活に対する違和感や、日々感じているコミュニティからの疎外感になった。

SF的側面では、設定も相当粗くて矛盾だらけ。ボス(クイーン)を倒せば他がみな無力化して死滅するという、映画的に便利なだけの設定が「過去のSF侵略ものではそうだった」との簡単な理由で現実になってしまう当たりは、だからパロディとして笑えばよいのだろう。いや、面白いよ。ギャグとして。

またこの映画、ディテイルがなかなか楽しい。ネタ的にも絵的にも、コメディセンスが溢れている。水分が必要なエイリアンに寄生された人々が、つぎつぎに水飲み場に行列を作ったりするところ。脱水状態になることがエイリアン駆逐への早道と「白い粉」を「鼻から吸い込」んで、一時的にハイになってしまうところ。

クライマックスはお約束っぽく、怪獣型のクリーチャーの登場と相成る。実は本体が姿を見せる場面より前、姿形は人間なのに「影」だけが・・というシーンの方が映像的に面白かったんだが。

監督のロバート・ロドリゲスだが、これまでの作品では力で押しまくる一方の単調な演出には辟易とするところがあって、映画を見ているうちに退屈になってきてしまう物が多かったのだが、今回、他人の描いた脚本なこともあってか、緩急があって観客を飽きさせない。意外にに巧いじゃん。少し見なおした。

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