12/01/1998

The Wedding Singer

ウェディング・シンガー(☆☆☆★)

今年の初旬(98/2)に公開された大ヒット作だが、今頃になって見るチャンスがあったので遅ればせながら。アダム・サンドラー主演映画として、彼のファン以外も観客に集めて大成功を収めた一本だ。

この映画でサンドラーが演じる「キャラクター」は、かつてバンドのリード・ヴォーカルを勤めていたが、いまは結婚披露宴の司会と音楽を担当する「ウェディング・シンガー」。酔っ払った親族でめちゃくちゃになった雰囲気だって見事に収拾してみせるプロフェッショナルだ。

即興で妙な歌詞の歌を作ったりもする音楽面でのサンドラーの「芸」と、キれさえしなきゃ心の温かく結構ハンサムな好青年キャラクターで押し通せる持ち味、ついでに、突然キれたときの無茶苦茶さ加減を活かした、見事なまでにアダム・サンドラーなキャラクターである。脚本を書いたのはティム・ハーリヒーで、監督はフランク・コラチ。いつもつるんでいる連中である。

サンドラーお得意のキャラクターものではあるのだが、これが純真なウェイトレスと出会い、お互い結婚式が近いということで息投合することから始まるロマンティック・コメディという体裁をとっているのが、今回の新機軸であり、ヒットの要因だろう。笑えて切ない、ちょっと不器用で初々しい恋の顛末。砂糖菓子のようなストーリーに「80年代ネタ」を音楽中心にちりばめ、とぼけた味のあるギャグを振り掛けてできた本作の魅力は、従来のサンドラー主演映画にはないものだ。

だって、ウェディング・シンガーの名前が「ロビー」、ウェイトレスは「ジュリア」。「ロミオ」と「ジュリエット」の語呂合わせだよ。これだけで、「ああ、純な話をやりたいのだな」と、なんかいつもと違うぞ、と気づくよね。

そして、これは共演したドリュー・バリモアにとって、大きなステップアップになる記念すべき作品にもなったんんじゃないか。ここ数年、ちょい役的な扱いでいろんな映画に顔を見せるようになってきていたが、まさか、あれだけ荒れた過去を持つドリューが、こんなに純真でスウィートな女の子の役柄でヒットを飛ばすなんて、なんというか、ある種の奇蹟をみるようなもんだ。

コメディとしては「15年くらい」という中途半端な時差を使って、80年代ネタでボケまくっているのがおかしくて仕方がない。(若い観客のなかにも)確実に記憶にある「近くて遠い過去」だ。主人公の髪型を始め、今見ると少しずれている80年代ファッション。「そのカップルが永遠に続くかどうかなんて、その二人を見れば分かること」と、85年当時は幸せの絶頂に見えた芸能人カップルの名前を列挙するあたり、ゴシップに詳しければ抱腹絶倒ものだ。

流れつづける85年の最新ヒット曲はある種ノスタルジーを掻き立てる。もちろんボーイ・ジョージやマイケル・ジャクソンはしっかり笑いのネタだ。クライマックス近くで思わぬゲスト出演があって、作り手である自分たちが青春を過ごした80年代への愛着がにじみ出ている。ゲスト出演多数。思わぬ顔にびっくりすることも、多分、ある。

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