9/17/1999

For Love of the Game

ラブ・オブ・ザ・ゲーム(☆☆★)

決断の時期を迎えたかつての名ピッチャーが、様々な思いを胸に、最後のビッグ・ゲームになるニューヨーク・ヤンキースとの対戦に向かう。チームの見売り危機とキャリアの終焉、彼と別れロンドンに向かおうとしている5年間愛し続けた女性。万感の思いを込めてマウンドに立つ彼は、いつしか完全試合を達成しそうになっていた。

『死霊のはらわた』のカルト・ホラー監督だったサム・ライミは『ダークマン』でメジャーに進出し、前作『シンプル・プラン』ではもはや名匠といっていい風格すら見せつけてくれたわけだが、なぜにケヴィン・コスナー主演の野球映画を撮ることになったのか、不思議に思ったりする。

『ウォーターワールド』と『ポストマン』の失敗で終わりかけたキャリアからの復活をかけている主演のケヴィン・コスナーにとっては、自身が得意とする野球もので、しかも、キャリアの終わりを迎えた男が自分が自分である証を手に入れるため渾身の力をこめてボールを投げるという物語に、惹かれるものがあったのだろう。(ヒロインのケリー・プレストンも美人だし。)

でも、サム・ライミ。

新しいジャンルに挑戦しようとした意欲はわかる。基本的に一つの試合と、脳内フラッシュバック出できている映画なのだが、その野球の試合にはTV中継を模したようなライブ感があるし、主人公が精神を集中させると観客席の声援がすっと消え入るような音を使った演出も面白い。でも、ライミでなくてもいいよ、こういう映画は。そう思う。

マウンドに立つ現在の主人公と、5年前に路上で偶然出会った女性のラヴ・ストーリーを中心とした過去の回想が交互につづられていく構成。お話そのものは幾分感傷的に過ぎるという欠点を除けば、けして悪くはない。が、なんだかドラマが細切れになってしまって、単に間延びした話になっちゃっている。

もうすこし当たり前の構成、たとえば、映画の導入が終わったところで一気に5年前に飛び、時系列でドラマを追いかけ、気が付けば7回。まだ誰もファーストベースを踏ませていないことに気付く主人公。そして、空港のラウンジで野球の中継にふと目を止めるケリー・プレストン。どんなもんだろうか?

嫌いではない。良いシーンもあった。しかし、やはりサム・ライミの題材ではなかったんじゃないのかな。野球と映画をこよなく愛するケヴィン・コスナーは、さすがに野球のユニフォームが似合う。(だから、ユニフォームを着ていないシャワー・シーンのカットなんかで映画会社ともめなくてもいいんだってば。)

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