10/08/1999

Story of Us

ストーリー・オブ・ラブ(☆☆☆)

Story of Us - 私たちの物語。

15年間連れ添った夫婦。子供たちの前では仲の良いところを演出しているものの、お互いの性格の違いからいがみあいが耐えない。互いに惹かれあった最大の理由が、いまでは2人の重荷になっている。とりあえず別居生活に入った2人の結論は何か。

長期間にわたる男女の関係が恋に変わる『恋人たちの予感』を撮ったロブ・ライナーが、同じ手法を応用しながら撮り上げた、『離婚夫婦の予感』だ。ハッピーエンドを迎えた恋愛映画の15年後といってもいい。主演はブルース・ウィリスとミシェル・ファイファー。そういや、ブルーノはデミ・ムーアとの結婚生活がこじれてしまったな。

映画館で金払ってまで登場人物の愚痴を聞きたくないという観客には向かない映画かもしれない。コメディタッチではあるが、狙いの半分くらいしか笑えない。でも、ここで描かれた「崩れていく関係」のドラマにはこれは胸に染みるような切なさが、心に突き刺さる痛さがある。深刻ぶったドラマに仕立てず、コメディタッチだから救われている、という見方があってもいいんじゃないか。

長い間かかって築きあげたきた男女関係や、夫婦関係。それが目の前で崩れていくのをわかっていて止められない、そっと見守るしかないという切なさや悲しみ、もしかしたら、情けなさのようなものが、エリック・クラプトンの歌声とともに全編から滲みでている作品である。

そう、、本作を思い出すと、まずエリック・クラプトンの主題歌が脳裏に浮かぶ。マーク・アイシャムと共同で音楽にクレジットされていることで明らかなように、単なる主題歌のレベルを超えて、最初から最後まで映画のトーンを規定しているのが、彼の提供した "(I) Get Lost" という曲である。まさに、泣きのギター。滑稽なシーンすら哀しみに染め上げてしまうこの調べ。

リタ・ウィルソンや監督自身が扮する夫婦の友人たちなど、もう少し脇役が丁寧に描かれていると映画としての厚みが増し、夫婦の危機を多面的に描くことが出来たんじゃないだろうか。また、予告編の編集がユーモアに溢れていて巧いな、と思っていたら、そのシーンが丸ごと本編のクライマックス一部だったのにはさすがに驚いた。ちょっと反則だよな。

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