10/29/1999

Bats

BATS・蝙蝠地獄(☆☆☆)

政府が実験していた強暴なコウモリがテキサス州で逃げ出し、仲間を増しながら人間を襲い出す。無慈悲で知能的な殺害マシーンと化したコウモリの群れと対峙する、小さな街の保安官とコウモリの専門家!

ハロウィーン・シーズンを当てこんだ、典型的な搾取(エクスプロイテーション)映画である。だからつまらない、だからダメな作品・・なのか?いや、そうじゃないだろう。

もちろん、この作品をダメだということはたやすい。『鳥』のように群れを成して襲うコウモリ。『ディープ・ブルー』のように人為的に知能を増大させた実験動物。パターン通りで予想を全く裏切らない展開。政府の実験にマッド科学者。お懐かしや、ルー・ダイヤモンドが主演。もちろん低予算・・予算節約のためのCGと、模型の安っぽさがバレないためのすばやい編集。

でも、脚本のジョン・ローガンと、監督のルイス・マーノウは、こういう企画につきものの様々な制約を向こうに回して、予算とテーマに似合わぬスケール感を出すのに成功していると思うのだ。中盤以降なぞ、閉塞感と開放感を巧みに組み合わせ、なかなか小気味良い展開を見せてくれるので侮れない。

コウモリの群れの描き方にも生理的な気色悪さがあって、悪くない。特に前半、主人公たちの乗ったクルマに群がったコウモリの薄気味の悪さは最高だ。

コウモリの専門家として招聘される女性科学者を演じたディナ・メイヤーが実質的な主人公。若い女性を中心に据えるあたりもこのジャンルの何たるかが良くわかった連中の仕事といえるが、この彼女、なかなか拾いものなのである。というか、傑作『スターシップ・トルーパーズ』に出演していた、あのディナ・メイヤーであるからして、心有る人ならば説明は不要だろう。

この映画で物足りないものがあるとすれば、それは癖のある俳優の怪演と、ちょっとした遊び心ではないか。ここに、例えば『アナコンダ』のジョン・ボイトだったり、『レイク・プラシッド』のオリヴァー・プラットのような「怪演」が加わって、遊び心のあるユーモアがあれば完璧なんだけれどな。ユーーもアという意味では最後に一発決めてくれるのだが、そのセンスがもっと全編にあればなお良かっただろう。

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