8/16/2008

Star Wars: The Clone Wars

スターウォーズ:クローンウォーズ(☆☆)

冒頭、慣れ親しんだ20世紀FOXファンファーレでなくWBのタイトルから始まることに、これほど違和感を感じるとはね。われながら不思議な気分だ。

『episode III』から3年、TVシリーズとして企画されたCGIアニメーション・シリーズの初回拡大版エピソードが劇場公開作品として登場だ。劇場公開作6本があれば、無限に増殖を続ける小説群やらなんやらの派生品にはあまり興味のない「不熱心」なスターウォーズ好きではあるが、ふと通りかかった新宿ミラノ座のロビーで観客に愛想を振りまいていたベイダー卿やらインペリアル・トルーパー様等ご一行にフラフラと誘われ、急遽予定を変更しての鑑賞と相成った。(そのおかげで急速に劇場・上映回数を減らされてきていた『インクレディブル・ハルク』を追いかけるのに苦労する羽目になろうとは...)

今回の『The Clone Wars』であるが、以前にカートゥーン・ネットワークで放映され、DVDでも2巻発売された「Clone Wars」 と同じく、episode II (開戦)とepisode III (終戦)のあいだに起こった出来事という設定で、ジェダイと分離主義者のドロイド軍、ダーク・シスやその配下の者たちの戦いを描いていくTVシリーズということだ。今回劇場公開される「第1話」では、誘拐されたジャバ・ザ・ハットの息子を奪還する任務についたアナキン・スカイウォーカー、新たに登場するアナキンの弟子、そしてオビワン・ケノービが、背後にあるダーク・シスの陰謀に巻き込まれるストーリー。クライマックスは「アニメ版」でも登場した強敵、アサージ・ヴェントレスとの大アクション・シーンである。

まあ、スターウォーズ・シリーズのスピンオフといえば、『イウォーク・アドヴェンチャー』や『エンドア』の昔から「お子様ランチ」であることが宿命付けられており、本作もそんなものだと思ってみる分にはお話の部分について大きな不満はない。また「新三部作」においてはCGIが全面的に導入されたため、俳優が演じているキャラクター以外は実質的にCGIアニメーションといって差し支えない状態になっていたのはご存知のとおりである。だから、CGIアニメーションの本作だが、実写シリーズ好きの私のような観客でも、細かいことを言わなければ違うのは登場人物(とストーリー)だけなんじゃないか、というくらいに連続性を体感できるのが楽しいところだといえる。

実際、背景やメカ類に関してのCGIのクオリティは、TVシリーズ向けとはいえ、(あれから3年の技術進歩を踏まえて)劇場の大スクリーンにかなり耐えられるものになっている。仮に俳優を用いた実写キャラクターを使えば、そのまま実写作品としても通用するかもしれない。低予算映画のCGIだと、このレベルに全く手が届いていないだろう。ただ、実写シリーズクオリティに迫るCGIを、「実写」として見せないで、あくまでアニメーションとして見せるというのが、本作の方向のようだ。実写版シリーズではやらなかっただろうというような、アニメならではの大胆な構図やカメラワークを随所にみることができ、目を楽しませてくれる。そのあたりは、やはり意識的にやっているのだろうと思う。

一方、キャラクター造形に関しては、これは敢えてということだと思うが、実写を志向したものではなく、いかにも「アニメ」といったディフォルメがなされており、その癖のあるデザイン・センスには好き嫌いが残るだろう。朗報は、ボイスキャストがよいことだ。声優のキャスティングはC3PO(アンソニー・ダニエルズ)、メイス・ウィンドゥ(サミュエルL・ジャクソン)、デュークー伯爵(クリストファー・リー)を除き、実写版とは異なっているのだが、これが、それぞれのキャラクターの雰囲気をよく掴んでいて出来がいい。そのおかげか、映画を見ていくうちに最初は気になっていたキャラクターデザインも、なんでもいいや、という気分になってきた。

お話しについては前述のとおり「お子様ランチ」である。やはり米国人の考えるところの「アニメ」観に則って、TV放映を前提に狙いとする視聴者層(ローティーンの男子、だろう)にあわせ、「対象年齢」をグッと下げてきている。アナキンと若い女弟子のやり取りや、「ジャバの息子」の描き方、物語の展開など、やはり「子供向けの派生シリーズ」以外の何者でもない。ただ、子供騙しにしては、それ以外のファンに向けたサービスも忘れてはいないので、多くを求めなければいい暇潰しにはなる、が、まあ、所詮はその程度の作品である。

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