8/30/2008

The Mummy: Tomb of the Dragon Emperor

ハムナプトラ3 呪われた皇帝の秘宝(☆☆★)

1999の1作目、2001年の2作目, 2002年のスピンオフ『スコーピオン・キング』以降、少々間の空いた第3作。奇しくもシリーズが手本にした『インディアナ・ジョーンズ』シリーズ最新作と公開時期がぶつかった。

本作では舞台をシリーズ当初のエジプトから中国に移している。こうなると、もはやなんでもアリ。ああ、そういえば、ついに邦題『ハムナプトラ』って、何の意味もなくなっちゃんですね。

シリーズのヒロインを演じていたレイチェル・ワイズが残念ながら降板しマリア・ベロが後を引き継いだが、主人公を演じるブレンダン・フレイザーはもちろん、へっぽこジョン・ハナーも復帰。加えて、これが大事なところだが、ジェット・リーが悪役で、ミシェル・ヨーも出演。監督も正続を手がけたスティーヴン・ソマーズから、たまには失敗作もあるとはいえ娯楽映画を撮らせて信頼の厚いロブ・コーエンに交代。

この出演者、この監督ならと、とりたててシリーズへの興味はないのだが、一見の価値はあるかなと出かけてみた。

このシリーズは、そもそもはユニバーサル・ホラー『ミイラ再生』のリメイク製作を発端にしている。が、これまでも、そんな源流はどこへやら、自由に脚色・展開されてきた。もちろん、インディアナ・ジョーンズが代表するような、クラシカルな冒険活劇を手本にしているには違いないが、なにしろ1999年、つまり、スターウォーズで言えば新三部作のスタートした夏に第1作が公開されたという事実が象徴的なように、CGI を全面導入したダイナミックなVFXを売り物にしたファンタジー要素が大胆に融合されているところが他とは異なる個性になっている。

いろいろ変化はあったとはいえ、今作も基本的な路線は同じ。ドラゴン好きのロブ・コーエンが手綱を握ったこともあってか、悪役ジェット・リーは当然のごとく凶悪(だがどこか愛嬌のある)ドラゴンに変身し、砂塵のなかをミイラの大軍勢が激突する。

ジェット・リーにミシェル・ヨーという、素晴らしいアクションスターを迎えておきながら、VFXで埋め尽くされた画面のなかで映画ファンが2人に期待するような活躍と見せ場はそれほど多くない。また、前作で誕生した息子が成長した設定で登場するのだが、主人公ブレンダン・フレイザーの大冒険というより、妻や息子も一蓮托生、「オコーナー家族の珍道中」とでもいうべきファミリー映画路線に舵を切った節がある。それは興行的には意味があるかもしれないが、主要キャラクターが増員した分だけ描写が薄くなり、とっちらかっただけという印象を受けた。

前作までの、「サービス満点」といえば聞こえはいいが、切るところを忘れたかのように何でもかんでもてんこ盛りでお腹一杯、、、というソマーズ路線からは離れ、真っ当な娯楽活劇に仕上がってはいる、とは思う。しかし、前作までにはあったある意味でヘンテコリンで荒削りなパワーというか、勢いのようなものはない。そうなると、これはこれで、とりたてて見所のない平凡な娯楽大作以上のものではないわけで、微妙な感じである。

そうはいっても、家族での暇潰しにはこんなさじ加減が丁度良いのかもしれないし、ある世代の観客には、すでに本シリーズが「お馴染み」の「懐かしい」作品となっていて、主人公を初めとするキャラクターに再会するだけでも楽しいと思うのかなぁ。でも、リアルタイム「ハムナプトラ」世代より、リアルタイム「インディアナ・ジョーンズ」世代のほうが、ずっと幸せだと思うよ。正直なところ。

2010年公開を目指してアステカを舞台にした続編を企画中という話もあるが、どうなることかね。

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