8/27/2010

Predators

プレデターズ(☆☆☆)

「リプリー」という主人公がいる『エイリアン』シリーズと違って、『プレデター』シリーズというのは、(シュワルツェネッガーが続編出演を断ったための結果としてではあるが)特定の主人公がおらず、凶悪な宇宙怪物が人間狩りを楽しむという話である。毎回異なる主人公がそれとは知らぬまに怪物とのゲームに巻き込まれ、生存をかけて闘うことになる。毎回、場所を変え、人間側のキャラクターを変え、目先を変えることはできるが、結局のところ、同じことを繰り返すだけである。

「AVP(対エイリアン)」ものまで数に入れると通算5作目となる本作もまた、目新しさに欠ける反復であることには違いがないのだが、本作のそれは間違いなく意図的である。舞台はジャングル。人間側は混成といえどミリタリー調の小集団。これが、第1作の意匠をなぞったものであるのはいうまでもない。ご丁寧にも、台詞として第1作の事件の顛末が語られ、「正当な続編」であることを主張するところや、そこで語られたシュワルツェネッガーの戦術を参考にし、身体に泥を塗っての肉弾戦までかたちをかえながらも再現される。シリーズの続編であり、原点回帰であり、仕切りなおし。それが本作の良いところであり、限界であり、全てである。そうであるならば、やはり軍配をあげるべきなのは「オリジナル」であり、その二番煎じである以上、本作にはそれ相応の評価しか与えられまい。

アーノルド・シュワルツェネッガーというインパクトのある主演者がいないかわりに、人間側の7人にそれぞれユニークなバックグラウンドを設定して描きわけ、集団ものの面白さを出している。紅一点の活躍や、日本刀で一騎打ちに臨むヤクザ、医者を自称するヘナチョコなど、ここはシリーズのなかでも一番成功している部分である。主演に起用されたタレ目のエイドリアン・ブロディはまさかの肉体改造により筋肉ムキムキ男として登場し、これまでのイメージを払拭する熱演振りがみもの。こやつ、こんなに男前だったっけ?タフガイというよりヘナチョコ側のキャラだと思ってたんだけどなぁ。

怪物側にもいろんな種族がいるという設定か、過去作と同類のほか、より体が大きく、少々異なる行動規範をもっている新型が3体登場し、新型のアーマー類や武器が披露される。まあ、こういうのはシリーズのお楽しみでもあるのだけれど、正直、キャラクター商品ありきの姑息なバリエーションのように思われる。というのも、これが物語としての面白さにはうまくつながっていないからだ。旧型(?)と人類の共闘がきっちり描かれていれば別だっただろうが、新型の強さを印象付けるためだけの役回りで、ちっとも面白くない。

本作の指揮を委ねられたロバート・ロドリゲスがつれてきたのが監督のニムロッド・アーントル。このひとの演出は、キャラクターの描き分けをみても、いざという時の見えの切り方を見ても、それほど悪くないと思う。この題材、この脚本であれば及第点といえよう。(少なくとも、単調・平板が特徴の第2作監督、スティーヴン・ホプキンスよりは絶対に上)。続編があるなら、同じ監督で、本作の生き残り組を主演にして作ったらいいと思う。そこで改めて、(ロドリゲスを含めた)作り手の創意が問われることだろう。なにせ、本作はリメイク的な仕切りなおしに過ぎないわけで、その先を見てみなければ本当の評価にはならないということだ。

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