2/12/1999

Message in a Bottle

メッセージ・イン・ア・ボトル(☆☆★)

ニコラス・スパークスっていうベストセラー作家原作。この人の本は空港の売店なんかでよく並んでいるのをみて名前を覚えていたんだが、かなりおおざっぱにいうと、泣かせの入った女性ごのみのメロドラマとか、ロマンスもの、いわゆる ”tearjerker” (お涙頂戴)な小説を 得意とする人という印象。

ケヴィン・コスナー主演作、コスナー自身と盟友ジム・ウィルソンに加え、ティム・バートン諸作で知られる女性プロデューサー、デニース・ディノヴィも製作に名を連ねている。これが女性映画だっていうのもあるんだが、ケヴィン・コスナーも、俺様的なワンマンの製作体制がつまづきの原因という自覚はあるんだな。

共演にロビン・ライト・ペン、ポール・ニューマン。監督に起用されたのが、メロドラマっぽいのが得意なイメージがあるルイス・マンドーキ。

「メッセージ・イン・ア・ボトル」っていうんだから、話は海辺に漂着していた1本のボトルと、その中に入っていた手紙ではじまる。ある男が、妻に宛てた手紙だ。発見したのは女性新聞記者。手紙を読んで、その誠実な心情の吐露に心を動かされた記者が、差出人を探していくと、二年前に妻をなくし、その過去にとらわれたまま日々を送るノースキャロライナの海辺の町に住むヨット職人にだどりつく。

お察しの通り、ヨット職人がケヴィン・コスナーで、女性記者がロビン・ライト・ペン。この二人の、なかなか前に進展しないロマンスがグズグズと展開されるという話である。ポール・ニューマンはケヴィン・コスナーの父親役。

久々にケヴィン・コスナーの良いところが出ていて、ヒロインと少年少女のように戯れるシーンなどは、女性ファン的には心が少しときめいたりするんじゃないかな。一方のロビン・ライト・ペンが演じるヒロインは、離婚を経験し、子供を抱え、仕事もこなす自立した女性。そんな女性が、恋の魔法で女の子のような笑顔や泣き顔をみせるところが可愛いのである。女性観客の、そういう素の自分に戻りたい願望みたいなものを、嫌味にならずに体現できているように思うんだけど、どうだろう。

個人的には久々に見るような気がするポール・ニューマンが良かった。登場時間の短い脇役だっていうのがもったいない、ユーモラスな余裕のある演技で、映画をビシッと締める流石の貫禄。

ルイス・マンドーキは、ポール・ニューマンのキャラクターを始め、脇役やちょい役を丁寧に扱っていて、男女二人のよろめきドラマにプラスアルファの膨らみをもたせている。あと、あまり台詞に頼らない演出をしている。ケヴィンが亡くなった妻の持ち物を、当時のまま一寸も動かさずに置いてあるという設定なのだが、ロビン・ライトがそれを動かしてしまったとき、何も云わずにひとつひとつ丁寧に元の場所に戻すケヴィンの手もとをアップで見せるのね。ここなんかは思わずグッときた。

大人の恋は必ずしも成就する訳ではない。若さ溢れ、ハッピーエンドに向けて突っ走る青春恋愛ものと違い、人生の半ばを迎えてそこから新しい自分を見つけて再出発しようともがいている男女の、ビター・スウィートな物語。さて、これでケヴィン・コスナーはかつての人気を盛り返すことが、、、、できないよなぁ、多分。とりあえず今回は、女性ファンに対して目配せしてみましたっていうところで。

でもさあ、主演二人の会話シーンで、車(金色のカムリ)のドアがカットによって閉まったり開いたりしているような大きなミスがあると、さすがに気が散っちゃうんだよね。

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