7/16/1999

Lake Placid

UMA レイク・プラシッド(☆☆☆)

「巨大な人食いワニが大暴れする(笑える)ホラー映画」ときいて、そんなアホらしい映画に時間と金をつかうのはご免だという人に無理に勧めたりはしないが、ちょっとした拾い物。監督はいかにも「B」というイメージのスティーヴ・マイナーだが、脚本が大人気のTVシリーズ『アリー・マイ・ラブ』のデイヴィッドE・ケリーで、出演者にはブリジット・フォンダ、ビル・プルマン、オリバー・プラットと、悪くないメンツが並んでいる。

メイン州の片田舎、湖に正体不明の怪物が出現し、ビーバーの生態調査をしていた作業員が無残に下半身をくいちぎられる事件が発生する。どうやらそんな北方に住んでいる筈のない巨大なワニがいるらしい。地元の保安官らにNYの博物館の学芸員やら人食いワニの専門家を名乗る男が加わって謎の解明にあたろうとする、というのが一応の筋立てである。特にひねりがあるわけではない。

が、なぜか面白い。身の丈をわきまえ、90分に満たない尺でまとめたところが一番良いところ。そんな短い時間ながら、登場人物のキャラクターが立っていて、会話のテンポ、かけあいのも面白さも楽しめる。これはTV界で鍛えられたデイヴィッド・E・ケリーの持ち味が出たところだろう。人間が描けているとまで言わない。が、化け物が出ていない時間も退屈しないというのは大事なことだ。

そして、きちんと演技の出来る俳優がそろっていることも勝因といえる。特に人食ワニ専門家を演じるオリバー・プラットは登場した瞬間からもう最高だ。あちこちの映画で重宝されている理由もわかろうというものだ。そして、ヒロインのブリジッド・フォンダはお約束通りに悲鳴をあげてくれる。

今や古典となった『ジョーズ』などを手本にした基本に忠実なショッカー演出もこなれている。ここは多くのホラーものを撮ってきたスティーヴ・マイナーらしいところだ。俊敏に動く巨大ワニのVFXも(安手ながら)悪くはない。ジョン・オットマンもいつもより派手目のスコアで雰囲気を盛り上げてくれるし、ブラックな笑いもある。

まあ、前半はすこぶる楽しかったブリジッド・フォンダが途中から手持ち無沙汰になってしまうことや、ヒーローとして活躍しようなビル・プルマンが今ひとつ活かせていないことなど、残念なことはある。だから、一級品であるなどというつもりはない。底の抜けた大作に比べたらずっと面白く、楽しい時間を過ごすことができる作品である。こういうのが嫌でないなら、騙されたと思って、ぜひ。

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