7/28/1999

Runaway Bride

プリティ・ブライド(☆☆★)

スターの魅力に甘え過ぎた作品だが、しかし、スターの魅力とはなんなのかを目の当たりにすることが出来るという意味では面白い。

結婚式場に新郎を置き去りにしたまま3度も逃げ出した花嫁。そんな田舎町のある女性をネタにしたコラムが新聞を飾ったところ、本人からの抗議で、記事を書いたコラムニストは仕事を失ってしまう。実は4度目の結婚式が間近だというこの女性に付きまとい、自分の正さを証明しようとするコラムニスト。2人はやがて恋に落ちてしまうのだったが,、さて、、、、という話。

主演はジュリア・ロバーツとリチャード・ギア、監督はゲイリー・マーシャルで、『プリティ・ウーマン』トリオ、10年ぶりの再結集である。

「逃げる花嫁」の4度目の結婚式を取材する記者、というアイディアそのものは、オリジナリティがあってなかなか秀逸である。一方、こういうリアリティに欠けた設定を支えるべき脚本と演出は緻密さを欠いていて凡庸なのである。しかし、それらを全て帳消しにするのはスターの魅力という、そういう映画だ。

ともかく、導入部の手際が悪いのにうんざりさせられる。コラムニストが「逃げる花嫁」を取材するに至る経緯はもっと端折ってしまうべきだろう。そして付きまとうように取材を始めてから彼女の協力を得るまでも、個々のエピソードは面白いのに、締りが悪い。「天敵どうしがいがみあっているうちに惹かれ合う」はずなのに、すでにして同窓会気分が蔓延なんだから困ってしまう。

それよりなにより、大きな嘘をつくにはリアリティの積み重ねが大事であろう。例えば1度ならいざ知らず、3度も結婚式を逃げ出したような女性が、幾分閉鎖的な田舎町に住みつづけている、住みつづけることが出来る不自然。これをどう不自然と感じさせないのか、そのへんになんの工夫も見られないのは、いかがなものかと思うのだ。

しかし、何と言おうとも話の内容よりも、スターで見る、スターで見せる映画である。ジュリアの個性は快活なアメリカ田舎娘で輝くから、こんな映画で活き活きとした彼女が見られるのは格別にファンでなくたって楽しい。また、4度目の結婚式のリハーサルで彼女とリチャード・ギアが見せる息のあった演技もいい。

ただ、ド派手な主演2人の影に隠れた感があるが、この作品で本来、最も注目すべきは名コメディエンヌ、ジョ-ン・キューザックの悶絶ものの演技だったりする。このひと、巧い。巧すぎる。

邦題は「プリティ・ブライド」なんだけど、酷いもんだなぁ。もうこの主演コンビだから、なんでもプリティにしちゃえってこと?

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