8/05/1999

Dick

キルスティン・ダンストの大統領に気をつけろ! (☆☆☆)

1972年、ウォーターゲート・スキャンダルに揺れるニクソン政権の裏側、スクープをモノにしたワシントンポストの記者たちが情報源としたディープスロートの正体に迫る問題作(?)。ホワイトハウス見学ツアーのコースからはずれた女子高生2人組が大統領自身と出会い、飼い犬の散歩係に任命されることに端を発するナンセンス劇。出演はキルスティン・ダンストとミシェル・ウィリアムズ。脚本と監督は『ザ・クラフト』のアンドリュー・フレミング。 

きっと、若くきゃぴきゃぴしたキルスティンに "Dick" と云わせたくって企画したに違いないんだ、これ。

リチャード・ニクソンのリチャードの相性が Dick、それが隠語として意味するところは、まあ、言うまでもないということで、ひとつ。

あと、この映画を見る前に、副読本としてオリバー・ストーン監督『ニクソン』とアランJ・パクラ監督の『大統領の陰謀』で予習することが望ましい、と思われます。なにせ、パロディ映画を見るのに「もとネタ」を知らなければ笑えないのと同じこと。ニクソンの時代とウォーターゲート事件の顛末は知っておいたほうがいい。

そんなわけで劇場内でうけまくっていたのは、やはり同時代を生きてきた世代の、ある程度年配の観客たちだった。米国人にしてそうなら、この作品はやっぱり日本の観客にはちとムズカしいだろう。

では、アメリカの歴史的事件を知らない観客にとってこの映画は見る価値のない作品なのか?もちろん、この映画でウォーターゲート事件の全貌が勉強出きるわけでは無いから、そういう価値はない。ただ、この作品はティーンズ・アイドル・ウォッチャーだったら見逃すべきではない1本だ。なぜなら前作『Drop Dead Gorgeous』に続いて、キルスティン・ダンストの魅力を堪能できる作品なのだから。

キルスティンといえばやはり衝撃的だったのが『インタヴュー・ウィズ・ヴァンパイア』の少女吸血鬼役だが、今年で17になる彼女、『スモールソルジャー』あたりから存在感を増しており、そろそろ作品次第では大ブレイクの予感がある。考えて見たら前作『Drop Dead Gorgeous』で10歳年上のデニース・リチャ-ズとタメをはっていたのは凄いことだ。(実は、10歳年下とタメを張れるデニースが怪し過ぎるという話もある。)

で、この映画だが、いってみれば「フォレスト・ガンプ」スタイルの作品といったら分かりやすかろう。歴史上の事件に全く場違いな人間が絡んで思いもよらない方法で辻褄があってしまう、というやつね。ホワイトハウスを巻きこんだ陰謀の中心に、場違いなキャピキャピ娘二人を放りこんだ時点でアイディア勝利。そしてなにより、今が旬である主演の二人の表情や動作を非常に魅力的に引出し、切り取ってみせている演出。パロディとしても、ドタバタとしても結構楽しい作品に仕上がっているといえる。

作品のテンポもいいし、ギャグのセンスや音楽の選曲もイカしている。70年代初期のファッションなどに興味があるなら、そういう部分でも目を楽しませてくれるだろう。

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