8/21/1999

Mickey Blue Eyes

恋するための3つのルール(☆☆)

NYのオークション会場で進行を務める英国男が恋した女性はイタリア系。実は彼女の父親は犯罪組織の一員で、まわりにいるのは物騒な男たちばかりなのだ。親のしていることは自分たちとは関係ないと、惚れた彼女と結婚に踏み切ろうとする主人公だったが、案の定といべきか、やはり災難が待っているのだった、というお話。

主演のカップルがヒュー・グラントとジーン・トリプルホーン。映画を観る前から、ヒュー・グラントがオロオロする姿が目に浮かぶよう。

マフィアもののコメディといえば佳作『ドン・サバチーニ』や近作『Analyze This』などが、マーロン・ブランドやロバート・デニーロといった、過去の映画の役柄を嫌でも彷彿とさせる「大物」を引きずり出してきたところがカギになっていた。本作でのその役どころは、血の気の多いジェームズ・カーンが担うというわけだ。組織の親分というわけではないので、役者としての格下感もちょうどいい具合。いや、しかし、恋人の父親がジェームズ・カーンってのはイヤな感じだな。で、周囲をバート・ヤングなんかがうろちょろしているのな。

単発ネタ気味ではあるものの、笑えるシーンはふんだんにある。ことにヒュー・グラントが必至でイタリア訛りのマフィア言葉を英国訛りで練習するあたりは一聴に値する傑作シーン。ジェームズ・カーン以下のヤクザ顔キャストたちの怪演も期待通り。

しかし、見終わって思うに、作品として少々煮え切らない。さんざん笑ったはずなのにな。

これ、一応、ロマンティック・コメディのはずなんだよね。だから、主人公が幾多の困難を乗り越えてハッピーエンド、という構成になるはずだ。もちろん、主人公がとんでもない災難にも耐えてみせようと思うのは、魅力あるヒロインゆえ、そこがロマンティック・コメディの「ロマンティック」な所以。

でも、ジーン・トリプルホーンのキャラクターが完全な脇役かと思うほどに描けていないのだ。これが致命的。なにせ、主人公がそこまでして困難に立ち向かう理由がわからなくなってしまうんだから。で、本末転倒というのか、主人公が遭遇する「数々の困難」のほうが映画を乗っ取ってしまった。まあ、笑ってオシマイにするにはそれほど悪い映画じゃないんだが、ちと、惜しい。

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