8/20/1999

Universal Soldgers: The Return

ユニバーサル・ソルジャー:ザ・リターン(★)

『ユニヴァーサル・ソルジャー』といえば、(いまはなき)カロルコ・ピクチャーズの1992年の作品で、ドイツから招いたローランド・エメリッヒにとってハリウッドでの足がかりとなったアクション映画だった。ベトナムで死んだ兵士をスーパー・ソルジャーとして蘇らせる。暴走する悪役ドルフ・ラングレンと、それを阻止する善玉ジャンクロード・ヴァンダムの共演も話題であった。

本作は、前作のプロデューサーであるアラン・シャピロとクレイグボーム・ガーデンが、主演のヴァンダムと共にプロデュースし、スタントのベテランであるミック・ロジャースを監督に担ぎだして作られた、一応、正統な続編ということになる。

今は社会的にも復帰を果たした最初の「ユニソル」であるルーク(ヴァンダム)は、国家の命により新たなユニソル・プロジェクトで働いていたのだが、予算削減・プロジェクト縮小を恐れた中央コンピュータが叛乱をおこし、最強のエリート戦闘集団を武器に戦いを挑んでくるのである。立ち向かえるのは旧型となったルークただ一人、という話になっている。脚本は『48時間PART2』のジョン・ファサノと、『Supernova』、『House on Haunted Hill』のウィリアム・マローン。あ、嫌な予感、、、。

いやはや、80年代の筋力スターの生き残り、ヴァンダムのキャリアの終焉を見るようだ。これまで基本的に「続編もの」の出演がなかった彼が、自らプロデュースしてまで、「中ヒット」程度の凡作の続編に出演しているという事実がひとつ。60年代生まれの枯れの顔に体に疲労が刻まれ、全く精彩が感じられないことがもう一つ。薬物の影響か?

そんなヴァンダムのネームヴァリューがゼロにならないうちに、低予算で名の知れた作品の続編を作りたいスタジオの意向と、失われて行く名声にあせったヴァンダムの意向が一致した結果の「安い」続編、そんなところだろう。

だいたい、続編としても単独で見ても、物語がデタラメである。そもそも、前作では「死んだはずなのに、その尊厳を守られず、人造兵器として蘇らせられた悲哀」が描かれたはず。その物語の主人公が、何故にまた、ユニ・ソルの新プロジェクトに協力しているのか。兵士の死体を再生して最強の兵士を作るというプロジェクトそのものが持つ倫理性についての言及をしたくないのなら、今回の敵となる新しいユニソルたちは、アンドロイドか、ロボットにしておくべきだろう。

ちなみに、そんな新ユニソルの一人としてプロレスラーのウィリアム・ゴールドバーグが出演して失笑を買っているのが見どころのひとつである。

ひどい脚本を渡されたベテラン・スタントマンは、せめてメリハリのあるアクションでも見せてくれるのかと思いきや、やはりそちらの才能はなかったようである。編集もデタラメ。本作に比べると、エメリッヒの愚作が傑作に思えてさえくる始末である。TVムーヴィーかビデオ直行なら許されるかもしれないが、これを劇場で公開するとは恥知らずといいたいね。

今気がついたのだが、ユニソルには知らないあいだに「TVムーヴィー」として製作された2本の続編があったらしい。万が一、ヴァンダムのでていないそっちの方が面白かったら、ほんと、怒るぞ。

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