8/27/1999

The 13th Worrior

サーティーン・ウォリアーズ(☆☆)

久々のジョン・マクティアナン監督作は、アントニオ・バンデラス主演、マイケル・クライトンがベオウルフを土台に構想した初期作「北人伝説(Eater of the Dead)」が原作の中世アクションだ。これが、初期のスクリーニングで大不評だったため、音楽の差し替えと追加撮影が決まり、マイケル・クライントン自身が追加撮影を監督。グレアム・レヴェルの音楽がリジェクトされ、巨匠ジェリー・ゴールドスミスが音楽を担当することとなったという代物。そんなドタバタの舞台裏をきくと、なんだか、いやな臭いが漂ってくる。

どんな話か。中世のアラブ世界より辺境のヴァイキングたちの世界に左遷されていた主人公が、北方の村落を襲う「死者を食らうもの」たちから守るための助っ人軍団に、「13番目の戦士」として参加することになった。霧とともに襲ってくる残虐なものたちとの決戦のときは刻一刻と迫ってくる・・・というもの。

前半、主人公らの文化の違いを描いたりして興味深くもあるが、スロースタートな感じ。得体の知れない怪物を相手にしている時の恐怖感みたいなものはそれなりに出ている。しかし、この正体が割れてしまうと、駄目だ。原作ではネアンデルタール人の子孫らしいんだけど。

中盤、相手の根拠地に乗り込むが展開に工夫が感じられず。主人公以外の12人の戦士の描きわけが十分でなく、ただいるだけ。演じる役者も知らない顔が並び、しかも髭面だから、視覚的にも判別がつかない。それを思えば、もうちっと脚本で描きこんでやってほしいところ。

さすがにクライマックスは画面作りに気合が入っていて、わりと盛り上がる。なんと、雨中決戦だ。そうか、『七人の侍』がやりたかったのか。しかし、盛り上がったと思ったら終わってしまう。もう少し見せてくれよ。

バンデラス扮するキャラクターが他のヴァイキングたちの言葉を理解するようになるところの演出が、マクティアナンの過去作『レッドオクトーバーを追え』でやった、ショーン・コネリーの口もとのアップ以降、ロシア人たちの会話が英語に差し替えられる演出を応用版になっていて面白い。ゴールドスミスが書いた音楽はさすが巨匠、なかなか燃える。

しかしいっちゃなんだが、そもそもこの話、それ自体がつまらないんじゃないか。なんで今頃、クライトンの初期作品を引っ張り出してこなくてはならなかったのか。『コンゴ』の失敗を見て気付けよ、それじゃダメだってことくらい。原作者のネームバリューだけに頼る映画作りは、もういい加減にやめるべきだ。

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