8/05/1999

Mystery Men

ミステリー・メン (☆★)

チャンピオン・シティの平和を守るキャプテン・アメージングは、「スポンサー」のご機嫌を取るためには強力な宿敵との派手な闘いが必要と判断し、精神病棟から恐るべき強敵、カサノヴァ・フランケンシュタインを解放するが、罠にはまって監禁されてしまう。この事実をつきとめたスーパー・ヒーローなりたがりの男たちが仲間を集め、街の危機に立ち向かう。

コミックの映画化となるこの作品、とても面白そうに思われるプロットだし、キャスティングもちょっとした映画好きだったら「豪華!」って思うに違いない。なにしろ、グレッグ・キニア、ジェフリー・ラッシュ、ウィリアム・Hメイシー、ベン・スティラー、ジャニーン・ガラファロ、ポール・ルーベンス、ハンク・アザリア、クレア・フォラーニ・・・なんだからね。

でも、残念ながら整理されていないおもちゃ箱というよりは、とっちらかったゴミ捨て場のような印象が残る作品になってしまった。監督は、CM出身だというキンカ・アッシャー。初監督作品らしい。

スーパー・ヒーローものをパロディにした世界観や設定、気合の入ったプロダクションによるチャンピオン・シティの造形も注目に値するし、個々の役者も楽しそうに怪演している。でも、なんか面白そうだけど、実際には笑うに笑えないコメディになってしまった。(そのせいか、日本では見事にビデオに直行のようだ。)

ストーリーに盛り込まれたオフビートなヒネリは楽しい。はぐれものたちが団結して悪に挑むと云うストーリーも王道だ。でも、エピソードは単なる数珠ツナギでメリハリがないし、カメラワークもうんざりするほど落ち着きがない。

どうしてこうなってしまうのか。もちろん、脚本も、監督も未熟なのだけど、そもそも作品としてのスタンスのとりかたに問題はないのだろうか。つまり、徹頭徹尾ナンセンスで押しきるのか、荒唐無稽さは設定にとどめ、未熟なはぐれものたちが未曾有の危機に対して団結し、悪と戦う中で成長をとげていくという王道なドラマを盛り上げたいのか。

演技陣は総じて暴走気味。監督はこのキャストをコントロールできていない。

そのなかで一番自分の役割を良く心得ていたのは利益優先のキャプテン・アメージングを演じたグレッグ・キニア、迫力ある敵を演じたジェフリー・ラッシュ、それにシャベルを振り回すウィリアム・H・メイシーの3人だろうか。ことに妻に半分馬鹿にされながらヒーロー願望を捨てられない男を演じたメイシーの演技には、ナンセンスな中にも節度があってちょっとくらいは泣かせてくれる。流石だ。

0 件のコメント:

コメントを投稿