11/14/2008

Letherheads

かけひきは、恋のはじまり(☆☆)

藤子F不二夫の死後に作られた『ドラえもん』映画をみて、ドラえもんをみているというよりも、ドラえもんに関する研究発表を聞かされているような気分になったことがあるが、これはまさにそんな感じの一本であった。

つまり、ジョージ・クルーニーが本作を作るに当たって数多くの古き良きスクリューボール・コメディーを見て研究したというが、スクリューボール・コメディに関する講釈をきかされているような感じで、ちっとも笑えないし、ちっともロマンティックでないあたりが致命的な1本だと思う。出来てまもないプロ・アメリカンフットボールを舞台にしたロマンティック・コメディ、というのが狙いだと思うが、それぞれの要素がバラバラでうまく噛み合っていない上に、テンポまで不必要にのろい。困ったなぁ。

以前に見た白黒作品『グッドナイト&グッドラック』(力作!)を見たときにもどこかで感じていたのだが、ジョージ・クルーニーが監督した映画を見ていて感じるある種の窮屈さは、結局そういうところにあるのではないか。決して下手ではない、むしろ技巧もあるし、志や狙いもわかるのだが、あらかじめ決めたコンセプトからはみでないように注意深くコントロールされて作られた故の息苦しさ。画面が活きていない。空を飛ぶ蝶でなく、ピンで留められた標本。料理でなく、埃をかぶった蝋細工見本とまでいったらいいすぎか。

アメフト草創期の実話に着想を得たと思しきキャラクターやエピソードの面白さまでは否定するものでもなく、脚本段階ではさぞ面白く読めたであろう。衣装やプロダクション・デザインも大変によい仕事で時代を再現、お気軽な映画にしては入念なつくりは、さすがハリウッドである。

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