11/09/2008

Red Criff Part-I

レッド・クリフ Part-I(☆☆☆)

『七人の侍』で言えば、役者が揃って舞台が整って、はい、「休憩」というところで映画が分割され、Part-II に続くというのだから、生殺しだ。まあ、前半戦で2時間半もあるのだから続けてみるのはきついのも事実。

登場人物も多ければエピソードも豊富な三国志を映画にするとなれば、常に、焦点の定まらないものになる危険がつきまとうわけだが、「赤壁の戦い」に絞った脚色と、本当のメインキャラクター以外の登場人物に説明しなくても分かるだろうといわんばかりの類型化を施した脚色で、長尺の割に単純で分かりやすい作品になっている本作は、とりたてて熱心な三国志ファンでなくとも置いていかれることはないあたりが興行的には塩梅が良く、とはいえ、コアなファンがあーでもないこーでもないと講釈を垂れたり、これまでにないスケールで映像化されたその世界に酔ったりするにも都合がよいという、絶妙のさじ加減。

では、ジョン・ウー好きにはどうかといえば、そりゃ、もちろん、ハリウッドでの近作2本の精彩のなさを補って余りある「漢祭り」が繰り広げられ、、、といいたいのはやまやまだが、登場人物と舞台設定の紹介に終始するこの Part-I までのところではちょっと物足りなさが残る。確かにトニー・レオンと金城武が目と目で通じ合ってしまったり、楽器の音色と旋律で会話してしまったりする超絶描写にはグッとくるし、合戦シーンの凝った組み立てや振り付けには目を奪われもするのだが、ドラマとしての盛り上がりが後半に持ち越されているだけに、どこどうしても熱さに欠ける。その不満はPart-II で晴らしてくれるものと期待を込めての評価としよう。

作品そのものとは関係のないことだが、「名前が難しいし、似たような顔で誰が誰だか分からない」などと言い出す「ゆとりな顧客」に配慮してか、字幕版では「大河ドラマかよっ!」と呆れるほど、しつこいほどに人物名をテロップで挿入していて、これがもう、たいへんに目障りであった。ジョン・ウーは少なくとも主要なキャラクターに対しては一目見て誰が誰だか分かるようなキャスティングをしており、それぞれの役者のメイクやいでたちも個性的で、これが見ていて分からないとなれば、字幕で笑いどころを教えてくれるバラエティ番組を見過ぎて、脳味噌が腐ってしまっているのだろう。冒頭の日本語による状況説明パート挿入は、一瞬、吹替版に入ってしまったかと焦ってしまったとはいえ、特大のヒットを狙う以上、あってもよい配慮の範疇かと許容できるが、作品中、画面を汚すだけのTV放送と見まごう白文字テロップは必要最低限に絞ってもらいたいものだ。

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