12/04/2010

Amelia

アメリア 永遠の翼(☆☆★)

リンドバーグに次ぎ、女性としては世界初の大西洋単独横断飛行を成功させたアメリア・イヤハートは、 日本での知名度はあまり高くないとはいえ、米国ではたいへんに人気のある人物だ。米国の映画やドラマを見ていると思わぬところで登場することがあって、例えば『ナイト・ミュージアム2』での「活躍」も記憶に新しいところだし、『スタートレック:ヴォイジャー』には、エイリアンに拉致されていたアメリアと、彼女を尊敬する女性艦長が銀河の反対側で出会うことになるエピソードまで登場する始末である。まあ、消息を絶ったまま遺体が確認されていないというところも想像力をかきたてられる所以なのだろう。

本作は、その(米国で)国民的な人気のあるヒロインを題材とした伝記ものである。特に変わったことをやろうとはしておらず、1937年、世界一周飛行の途上、南太平洋上で消息を絶つまで、時系列的に彼女の人生をなぞっていくスタンダードな作りになっている。そこで描き出されるのは、アメリア・イヤハートという女性の奔放で自由な私生活、挑戦や偉業、米国の航空政策に果たした役割や、後進の女性たちに与えた影響、彼女を懐深くサポートし続けた夫との夫婦の愛情だ。

監督は『サラーム・ボンベイ!』、『モンスーン・ウェディング』で知られるインド出身のミラ・ナイール、脚本は『レインマン』で一世を風靡したロナルド・バス、、、をを、久しぶりに見る名前だな。本作の弱さは凡庸で工夫のない脚本と、大空を飛翔することの高揚感や爽快感、主人公を空へとかきたてる動機をきちんと映像にできていないことだろう。一方、セットや美術には金がかかっている様子で、映像はそれなりに贅沢である。

主演はヒラリー・スワンク。強い女性の繊細な感情を演じさせたら、確かにこの人、なんだろう。危なげはなく安心してみていられる。彼女を支え続ける夫役がリチャード・ギア。いってみれば、懐の深い「待つ男」という役どころ。もう一人、彼女の人生に大きなかかわりを持つ男としてユアン・マクレガーが共演。3人それぞれに持ち味を出しているのだが、想像の範疇というのか、少し退屈であるともいえる。ヒラリー・スワンクはすごい女優だと思うし、好きな人なんだが、作品選びがイマイチだ。リチャード・ギアもこういう退屈な役をやる俳優、という位置づけになっちゃったのかな。

スパイとして日本軍に捉えられていた説まであるアメリアだが、そういえば、つい最近、彼女の遺品の一部と思しき物や遺骨だと思われる骨が見つかったなどというニュースが流れていたが、今度は決定版になるんだろうか。

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