11/25/1998

Very Bad Things

ベリー・バッド・ウェディング(☆)

幼馴染の男友達5人組。仲間の一人が美人と結婚をするというのでラスベガスに出かけてバチェラー・パーティと洒落こんだ。ラスベガスといえば、カジノ、ドラッグ、娼婦。さんざん「悪いこと」を楽しんでいた男連中だったが、仲間の一人が偶然娼婦を殺してしまったことでムードは一転。真っ青になった男たちは、妙に冷静に振舞う一人の男のリードで死体を砂漠に埋めて知らんふりを決め込むことにするが、それでコトは終わらなかった。

次々に意味のない殺人が起こる、ブラック・コメディである。TV『シカゴ・ホープ』の出演者であるピーター・バーグの脚本・監督デビュー作だという。そんな作品の割には出演者が豪華だ。クリスチャン・スレイター、ダニエル・スターン、ジーントリプル・ホーンに加え、今や旬といっていいキャメロン・ディアズが出演しているんだから。

しかし、なんとも困った映画である。いや、倫理的にどうかということを問うつもりはない。だいたい、、「悪い事をすれば報いがある」という、因果応報に則った話なのだから、倫理的におかしいというものではない。コメディとして死体が転がる様や、罰当たりな死体の扱いをする映画は数限りなくあるわけで、それをとやかくいうつもりもない。

ただ、映画としてのテンポが悪く、コメディとして笑えない上だけでなく、後味も悪いのだ。

こういう話の中で一番輝いてしまうのは、やはり、曲者クリスチャン・スレイターだ。スレイターはあのカルト・ヒット『ヘザーズ』のせいか、それともなんか勘違いしているとしか思えない私生活のせいか、アブナイ役が最高に似合う怪優になってしまった。5人の中で比較的冷静で、事態の収集に向けてリーダーシップを発揮する時、なんとも言えない不気味な迫力と格好良さを発揮する。

キャメロン・ディアズが演じているキャラクターは宣伝に反して本当に脇役。『メリ首』の思わぬ大ヒットで得したのは製作者たちだ。彼女の役は他のキャラクター同様全く自分勝手なんだけれども、クリスチャン・スレイターを退場させるに至るシークエンスで見せ場がある。もしかしたら、ここが映画の中で一番面白い。

もう一人巧いのはダニエル・スターン。さっさと精神的に崩壊していく男の役なんだが、いや、本当にうざったくてこの映画の登場人物ならずともさっさと殺してやろうか、という気分にさせられた。もちろん『ホーム・アローン』でもいいところをみせていたが、それにしても、本当はこんな映画にはもったいない実力の持ち主ではあろう。

最初の思いがけない殺人が次々に意味のない殺人を呼ぶという展開は、いってみればコーエン兄弟の『ファーゴ』なんかもそういう趣向だが、この作品はもっと毒々しいコメディを狙っていて、観客が笑えなくなるぎりぎりのところまで過激さを持っていこうとしたようだ。しかし、全てのネタが人殺しに落ちていくあたり、殺伐と云うよりはむしろ単調。「中途半端」に生々しい描写は、いっそマンガ的にするのか、スプラッター的に極端に弾けるか、どちらかに振り切るべきだっただろう。

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