11/06/1998

The Waterboy

ウォーター・ボーイ(☆☆)

アダム・サンドラー演ずる知恵送れ気味の31歳の男が主人公。ルイジアナの不気味な森の奥にキャシー・ベイツ演ずる母親と住み、(普通は)子供のアルバイトであるカレッジ・フットボールの水配り人を天職と思い働いている。ある日、仕事中にとてつもない才能を見出された主人公は、これまで馬鹿にされてきた鬱憤をバネに、一躍チームのヒーローとして大活躍を始める、という話。ある種の「キャラクターもの」といえる、ドタバタ系コメディ。

主演のアダム・サンドラーは、90年代の前半にサタデーナイトライブで活躍した人気コメディアンである。「オペラマン」などのコントやユダヤネタの馬鹿げた歌で人気を博した。映画では『エアヘッズ』等での脇役にはじまり、主演俳優に昇格。その後、出演作は毎回前作の興行成績を上回る快進撃を続け、前作『ウェディング・シンガー』が8千万ドル級のひっとをかっとばして大ブレイク。今回は、大ヒットを期待されての新作というわけだ。

今回の作品でサンドラーが演じるキャラクターは、彼の十八番といって良い。かつてSNLでやったスケッチ「カンティーン・ボーイ」風知恵遅れキャラクターに、南部ネタ、突然キれたり凶暴化したりする芸風を組み合わせたイメージだ。作品内容も前作が少々らしからぬロマンティック・コメディに振った作品だったことを受けて、反対方向、ナンセンス&ドタバタ寄りの方向に振っている。

実はサンドラー、本作の製作を手がけ、古くからの友人ティム・ハーリーと共に自ら脚本を手掛けている。監督はNYUでの同窓だというフランク・コラチ。こうしてみると、この男、早くも単なる主演俳優の域を超え、すでに自分の作品作りを戦略的にコントロールしてかのように見える。なかなかの男だ。

それはさておき、作品として面白いのかどうか。主人公やチームのコーチ、ゲテモノ料理好きのキョーレツな母親、ファイルーザ・バルク演ずる妙な恋人など、知能指数ゼロなディープサウス住民的キャラクターは面白い。独特の、調子はずれで抜けた感じの間やテンポも、ツボにはまってくると笑える。

ただ、ギャグそのものが少々単調で、意外性には欠けるところがある。特に、これまでのアダム・サンドラー映画を見ていると、あまり新鮮味を感じない。いま、ちょうど旬を迎えた彼の主演作だから爆発的なヒットを飛ばしているが、初期の主演作のほうが破壊力があって面白かったと、個人的には思う。

監督も脚本家旧知の人物を起用した本作。ダチを大事にするのがサンドラー流らしい。出演者の中でもロブ・シュナイダーはSNL時代の共演者で、彼の登場シーンはやっぱり息とタイミングがあっている。

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