9/13/2008

Nim's Iland

幸せの1ページ(☆☆)

『幸せの1ページ』とは、よく分からない邦題である。まあ、お子様向けアドベンチャー映画で、しかも日本で原作が広く知られているわけでもなく、ジェニファー・フラケット&マーク・レヴィン協同脚本・監督という作り手がアピールになるわけでもなく、特別な売り物はなにもないという、商売のたいへん難しいシャシンである。ジョディ・フォスター視点で、自らの殻を破って1歩踏み出すことで幸せへの扉がひらけるんですよー的なOLさんが元気になれる系映画として売ろうという魂胆なんだろうが、いや、でも、これはそういう映画じゃないだろっ。

要は、無人島に一人取り残された女の子が一人で頑張るという映画の、刺身のツマとして挟み込まれたお笑いパートがジョディ・フォスターの役割である。島に女の子が一人取り残され、それを知っているのは自分だけという状況に、少女を何とか助けなくてはと奮起してしまった潔癖症引きこもり作家が島に着くまでの珍道中。そんなに苦労したところで、あんた、何の役にもたたないじゃん!と誰もが思うわけだが、本人はそう思っていないというのがお決まりとといったところ。このパート、ツマのはずなのだが、そのわりに上映時間に占めるウェイトが高く、しかも、本筋なんかよりずっと面白いので、映画としてはなんともバランスの悪い構成になっている。

いっそのこと、島や女の子を全て画面から追い出して、全編引きこもり作家の主観だけで押し通したら、いや、そもそも彼女を呼び出した無人島の少女なんて実在するのかどうか、作家の妄想ではないのか、なんてことになったりして、もっと面白いに違いない。が、もちろん、原作付き(『秘密の島のニム』by ウェンディ・オルー)の映画としてはそういう極端なこともやりづらかろう。

まあ、スクリーンにジョディ・フォスターが映っていれば満足という私のような観客にとっては、いびつな構成の本作も全く問題がない。ここのところ闘うヒロインやへヴィーな題材が続いていたジョディとしては、『マーヴェリック』以来になるコメディ演技で、相変わらず、何をやらせても過度にうまく、必要以上に観客の心を掴んでしまう彼女の可愛らしいところが堪能できる。それ以外に見せ場があるかといえば、『リトル・ミス・サンシャイン』で達者なところをみせた子役、アビゲイル・ブレスリンの成長振りだろうか。しかし、うわ、これ、少女虐待じゃあるまいかというような虫喰いシーンがあったりして、違う意味ではらはらしてしまう。えらいな、君。よく耐えたね。

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