9/28/2009

Nonchan Noriben (のんちゃんのり弁)

のんちゃんのり弁(☆☆)


まあその、なんだ。まじめで誠実につくられたオーソドックスなコメディだとは思う。聞けば、95年~98年連載で未完におわったマンガが原作で、1997年・98年に昼ドラ枠でTVドラマになっているという。

緒方明監督による本作に関する最大の謎は、この企画をなぜ、2009年の今、改めて劇場映画にしなくてはならないのかがさっぱりわからないことである。経済的に厳しい環境の中で、女性の自立だ、頑張る女性への応援歌だ、という意図なのかもしれないが、古いマンガを持ち出してこなければならないあたりに、原作なしのオリジナル脚本ではお金が集めにくいという事情が透けて見える、というべきなのか。

さて、これは、「30代の子持ち女性がダメ亭主と別れて再出発をしようとする話」である。手に職もなく、就職口もみつからない主人公が弁当屋を開こうと思い立ち、まずは居酒屋の弟子として料理修行に勤しむようになる。映画のタイトルから、「一人の女性が弁当屋を開業し、起動にのせるまでの奮闘期」のようなものを想像していると、ちょっと肩透かしを食う。

弁当屋をやろうと思い至るまでにふらふら、思い至ってからもふらふら。元亭主とのドタバタや、かつての同級生との恋愛模様がぐだぐだと続き、クライマックスは元亭主との乱闘騒ぎ。映画の中での「弁当屋」の扱いは、単なる添え物にすぎないと感じる。映画の最初のほうで、主人公が作る弁当をアニメーションで解説してみせたりするが、そこまでするなら、徹頭徹尾、主人公と弁当に焦点を当てるべきではなかったか。もっと主人公の弁当に対する思い入れや工夫、好きでやっていたことをビジネスにしていく上での壁や葛藤などを描いたら新味があったように思う。

主演の小西真奈美は相変わらずの人形のような童顔で、突拍子もない主人公をいきいきと演じていて、コメディエンヌとして頑張っているとは思うのだが、これは演じているキャラクターの問題かもしれないのだが、どこか一本調子でイライラする。母親役の賠償美津子や、居酒屋の主人役の岸部一徳は、そりゃ、巧いにきまっているのだが、あまりに予定調和。はまりすぎるのも退屈だというのがなかなか難しい。

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