9/29/2009

Land of the Lost

マーシャル博士の恐竜ランド(☆☆)


『俺たち~』シリーズ(?)で、日本でも局所的に名前が知られるようになってきたウィル・フェレル主演最新作。ブラッド・シルバーリング監督による本作は、1974年製作による子供向けSFi ドラマで、後にカルト化した『Land of the Lost』をゆる~くリメイクしたものである。また、リメイクといっても、ストレートなリメイクではない。「カルト・クラシック」のバカバカしさや幼稚さにおちょくりをいれる「公式な」パロディというのが一番正しいところだろう。「公式」というのは、本作の制作に、オリジナル版の製作者であるシド&マーティ・クロフトが関わっているからであるわけだが、クリエイター自らが陣頭指揮を執って、旧作のタイトルもそのままに、パロディ仕立てのリメイク劇場版を作るというひねくれ具合が面白いところだと思う。

さて、お話のほうであるが、邦題タイトルで想起されるような、「タイムトラベルで恐竜時代にいく」という話ではないし、「恐竜を現代に連れてきて遊園地で見世物にする」話でもない。次元の裂け目から、恐竜や類人猿、トカゲ人が跋扈する別の世界に迷い込んでしまったおとぼけ科学者ご一行の、すっとこどっこいな冒険談である。まあ、冒険といったところでたいした冒険ではなく、類人猿をお供にし、恐竜に追われ、トカゲ人に襲われ、麻薬でハイになるといった程度のことではある。

映画の基本がパロディであることから、チープで安っぽいTV版の雰囲気をそのまま再現することに主眼があり、特撮も敢えてローテクっぽく、着ぐるみはあくまで着ぐるみらしく、作り物は敢えて作り物らしいというのが基本線である。つまり、その情けなさが笑いのネタになっている、ということだ。こんな安っぽく見えるものにビッグ・バジェットを投じて熱を上げるという太っ腹には感心せざるをえまい。チープさが基調のビジュアルのなかで、CGIで描かれる恐竜だけは何故だか妙に気合が入った出来栄えで、邦題についつい「恐竜」と入れたくなった心情も理解できるところである。恐竜のできがよいがゆえに他の部分の安っぽさが際立っているようにも思う。

映画のノリはウィル・フェレルの芸風にあわせたものである。この人の笑いは昔でいえばチェビー・チェイスあたりのそれに近いようにも思うのだが、まあ、はっきりいって面白いんだか面白くないんだかわからないところもあって、脚本や演出でその芸風を活かしきれるかどうかで出来が左右する部分が大きいのである。そんな意味で、今回の敗因は、この男の芸風と監督との相性ではないかと思う。そもそもブラッド・シルバーリングという人はコメディ畑の人ではないから、面白いコメディアンの芸をそのままカメラに収めれば、面白いに違いない、とでも思っているに違いない。本当はこういう企画なんか、例えば、かつてのジョン・ランディスのようなコメディの呼吸がわかる監督が手がけていれば、爆笑必至の仕上がりだっただろうと思うのだが、どうだろう。

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