9/24/2009

The Ugly Truth

男と女の不都合な真実(☆☆★)

『300』の印象が強烈ながらも、ロマンティック系でもいけることを証明しつつあるジェラルド・バトラーと、テレビで売り出し『幸せになるための27のドレス』も記憶に新しい新参キャサリン・ハイグルが競演する新作。私はロマンティック・コメディ好きであるから、こういうのはともかく見に行っておくものなのである。もともとフォーミュラティックなジャンルであって、よほど酷くなければ、そこそこ楽しめるところもお気楽だ。実際、この作品もそれほどの褒められた出来ではないのだが、笑わせてもらったし、楽しい時間を過ごさせてもらったと思っている。

後から知ったのだが、この作品、『キューティ・ブロンド』、『アイドルとデートする方法(Win A Date With Tad Hamilton)』、『21』と、当方、密かにご贔屓のロバート・ルケティック監督の新作で、『キューティ・ブロンド』の脚本家コンビ(カレン・マックラー・ラッツ&クリステン・スミス)との再タッグ(ストーリー・共同脚本はニコール・イーストマン)作品であったりするのである。いや、それを知ってしまったら、この映画、これで満足というわけにもいくまい。だって、もっとマトモな仕事が出来る人たちなんだから。

堅物女性TVプロデューサーが男の気を引くため、男の本音をぶちまけて人気を博す男の知恵を借りるのだが、犬猿の仲だったはずなのに、恋の相手を差し置いて、いつしか互いに惹かれあうようになってしまう・・・という話。(マッチョ主義の)男の本音って(所詮)こんなもの、というアケスケな台詞の応酬が楽しく、本作の新鮮味である。が、こういうのは「下品さ」のさじ加減が難しいものである。本作で突出して笑えないシーンは、(おそらく『恋人たちの予感』のメグ・ライアンに着想を得たであろう)レストランでのシーンで、思わぬ成り行きで「大人の玩具」を装着したままである女性が、それと知らずにスイッチをもてあそぶ子供のせいで嬌声をあげるくだりを、たいへんにシツコい演出で見せるところだ。この手の下品なギャグが一線を越えるきっかけはファレリー兄弟の『メリーに首ったけ』だったのだろうが、作品のトーンと方向性を考えなければ目も当てられない惨劇となるのは本作に見るとおりである。

もうひとつ、本作の決定的な弱さになっているのは、互いに馬鹿にし、忌み嫌っていた2人が、いかにして惹かれあうようになるかというプロセスを説得力をもって描けていないことであろう。これは、いってみればロマンティック・コメディの肝である。もちろん、この2人が仲良くなるのがこのジャンルの「お約束」だから、それほどの唐突感や違和感があるわけではないのだが、互いが心のなかで求めていた真剣な付き合いに値する相手が、目の前にいる男/女であると、いつ、どこで、なぜ気がついたのかを説得力を持って描けなければ、2人の関係そのものが一時の気の迷いに見えなくもない。

一方、よくできていると思ったのは終盤、ホテルのエレベーターでの出来事の描き方である。互いが本当の気持ちに気がつき、一歩前に踏み出そうとするのだが、タイミングが悪くことは成就しない、というすれ違い、いってみれば定番のパターンを踏襲しているに過ぎないのだが、それまでのドタバタ基調の作品のトーンを、「ロマンティック」寄りに転調させるのに、脚本、演出、役者それぞれの歯車が噛み合って、ちょっといいシーンに仕上がっている。

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