10/16/2010

Eat, Pray and Love

食べて、祈って、恋をして(☆★)

えーと、週末の朝なんかのTV番組で、よくわからないタレントを担いだ海外紀行コーナーがあるでしょ。さすがにあんなのよりは面白いんだけど。

売り出し中の作家が、離婚し、理解できずにすがる夫を退け、若い男と付き合うがうまくいかず、イタリアにいってイタリア男から伊語を学んでパスタやピザを食べ、インドに行ってNY出張もこなす売れっ子グルの観光地的な道場で修行し、バリにいってインチキ臭いゴロツキのラテン系エクスパットと恋に落ちる話。

まあね、作り手とジュリア・ロバーツは世界各国巡りで楽しかったんだろう。しかし、映画を見ているこちらとしては、彼女が出かける先がちっとも魅力的ではない。(これを見て、「素敵」と思っちゃった観客は、おそらく人生を考え直したほうがいい。)

これが、主人公のお気楽さを馬鹿にし、批判的に見せるという深遠なる意図があってこうなっているというのなら、すごい作品かもしれない。

だって、結局のところ、行く先々で、主人公と同類の「お気楽な外国人旅行者・エクスパット」の類と、「それを食い物にしたい現地人」の狭く特殊なサークルにこもっているだけで、ちっともその殻を破りはしないのだ。

これを表面的に見て素敵だと思え、というのは普通に考えるとおかしくないだろうか。ある種の批評的な視点があると思わなければ納得のできない、いかにも変な描写の連続である。

この映画の面白さは、「本当の意味で現地の社会やカルチャーを知ろうとはしないのに、世界のすべてを見た気になって、ちょっと親しくなった現地人のために寄付を募って人道支援なんかもやっちゃった気分の、いかにも米国的な自己欺瞞女のポートレイト」を、意図してか意図せずしてか、かなり露骨にスクリーンに映し出してしまったこと、だ。

で、この映画の失敗は、おそらく意図していなかったから当たり前なんだろうけど、ここで描かれた主人公の姿や行動に対する批評性を明確に感じられず、表面的には単なるお気楽映画にしか見えないことだろう。いや、じっさい、骨の髄までお気楽映画なのかもしれないけどさ。

要は、この映画を間に受けることが出来る人は(それはそれで)幸せだし、この映画を逆説的にせせら笑いながら見る人も楽しめる映画でもあるが、素直に見るくらいなら昼寝していたほうがマシな作品である、、、あ、見る前から分かっていたはずことを書いてしまった;

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