10/09/2010

Resident Evil: Afterlife

バイオハザード IV アフターライフ(☆☆)

同じポール・アンダーソンでも偉くなっちゃった"PTA"の方じゃなくて、中学生映画を連発する愛すべきポール "WS" アンダーソン監督が、シリーズ第4弾に復帰、3D化に挑んだアトラクション映画である。バイオハザード・シリーズとしては第2作目で早くも愛想が尽きたので前作は未見。しかも、アバター同様に3Dカメラで撮影したことが売り物の作品であるにもかかわらず、2D上映での鑑賞であることをお断りしておく。

で、2Dで見たのだが、どういう3D効果を狙っているのかは平面でも分かる。まずは古典的な「何かが飛び出す」系の演出。弾丸、コイン、硝子やコンクリート等の破片、巨大な斧や剣、それにゾンビやその口から飛び出す変形した不気味な顎、等々である。もうひとつは、画面の奥行きを活かした「高低の落差」系の演出で、高いところから落下したり上下移動をするシーンが比較的多く登場する。3Dで見ていたら、まあ、遊園地のアトラクション並には楽しめるのかなぁ、と想像する。あと、終末的な世界をスクリーンという窓から覗き見るようなところもあるが、舞台が限定的であるためにそれほどの見せ場にはなっていない。

アクションの演出も、大型の3Dカメラゆえの制約もあるのだろうが、3Dの特質を踏まえたものになっている。つまり、一時期流行した細かいカットをつないで編集で(誤魔化して)見せるのではなく、カットを割らず(CGIワークでごまかしながら)スローモーションや回り込みで見せるタイプの演出になっている。

3Dで見てもいないくせに、実写系の3D作品としての側面に言及するならば、やはり、そこは試行錯誤の途上ながらも着実に進化をしているように見受けられるのだが、題材が題材ゆえか、見慣れた「立体映像アトラクション」に終始し、観客の想像を超えるような新しい要素は見出せはしない。

では、ストーリーを含めたアクション活劇としてはどうかといえば、まあ、前作を見ていないのだから、主人公がやたらめったら強い上に分身までして戦う冒頭・渋谷のプロローグはさっぱり意味不明であることを割り引いて考えても、さして面白いものでもない。見ているあいだはそこそこ刺激が持続するが、ストーリーもなければドラマもない。謎の男は危険な囚人なのか、味方なのか、サスペンスになる前に底が割れる。廃棄された牢獄からゾンビで溢れた市街を強行突破するかと思いきや下水経由の肩透かし。いけ好かない映画プロデューサーは安っぽく敵のしもべに成り下がり、敵ボスはエージェント・スミスの安っぽいパクリ。アクションにも新規性はない。もはやゾンビは背景美術でしかない。続編には色気をだして中途半端な終わり方をする。

もちろん、"WS" の映画に多くを求めちゃいないから、そんなもんだろう、と割り切って暇つぶしに見るなら腹も立たないものだ。しかし、この程度の映画で、ゲームのファンなんかは満足できちゃったりするものなのだろうか。ここには、ゲーム特有のインタラクティブ感や没入感はゼロなんだけど。いや、没入感は3D化で少しは上がっているのかもしれない。だとすれば、この手のジャンルの映画にとって3D化はあるべき進化の方向だろう。

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