8/10/2011

Drive Angry 3D

ドライブ・アングリー3D(☆☆☆)


ニコラス・ケイジも、ヘンな映画ばっかりに出るものだ。しかし、本作はそういうヘンな映画のなかにあって、なかなか面白くみられるオススメの部類に入るといってよいだろう。もちろん、エロとヴァイオレンス満載の、エクスプロイテーション感満載の低俗なアクション映画には違いがないのだが。なんというか、良質な俗悪映画とでもいうべきか。

娘を殺したうえ、孫娘を生け贄にせんとする悪魔崇拝のカルト教団の魔手から孫娘を救い出そうとするのが、ニコちゃん演ずる主人公である。ダッジチャージャーやら、シボレー・sシェベルSSやら、ヴィンテージもののアメリカン・マッスルカーを駆って悪党どもや追手を成敗していく。死んだはずなのに地獄の底から蘇ってきた狂気の主人公、撃たれても撃たれても、立ち上がるその男の名はジョン・ミルトン(って「失楽園」か!)。そうなると、謎の追手はもちろん、地獄の番人だ。

クエンティン・タランティーノがしかけた「グラインドハウス」がオマージュを捧げた類の映画の最新バージョンだと思ったら良い。監督は『ブラッディ・バレンタイン3D』などという、これまた俗悪映画を手がけたパトリック・ルシエだから、観客がこの手の映画に求めるツボをよく心得ている。女を抱いたまま襲い来る刺客を皆殺しにするシーンなど、笑いどころも多い。アンバー・ハード演ずるヒロインもセクシーで格好良いし、大味だが血塗れで派手なアクションも満載だ。

この監督、すでに3D映画の経験を済ませているからなのか、本作の3D演出も、漫然と3Dをやっているそこらへんの大作と違ってなかなか面白い。もちろん、最初から3Dカメラで撮影されている本作は、今年になって劇場で観た実写の3D作品では一番出来が良いとすら思うほどだ。もちろん派手なアクションやカースタントを迫力一杯に見せるとか、弾丸や杭が飛び出してくるという古典的な立体演出も多用されているのだが、車の窓ガラスに反射する風景であるとか、主人公の回想シーンなどを立体的に重ねる演出は、3Dを演出上の道具として効果的に使いこなしているよい事例であると思う。

上映時間105分、そもそもこういう映画を求めて見に来る観客を、きっちり楽しませるだけのサービス精神に満ちた拾い物である。まあ、誰にでもオススメというわけではないんだけどね。

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