8/06/2011

Monsters (2010)

モンスターズ 地球外生命体(☆★)


米国版の新しい「ゴジラ」への起用が話題になったギャレス・エドワーズ監督が低予算で創り上げた作品だというので、どんなものかと見に行ってみた。おんなじ低予算という意味で、今年公開された『スカイライン 征服』なんかと比べたら、一応、「映画」になっていると意味では数段マシ。

じゃあ、面白いのかと言われると、それは別の話なのだ。残念ながら。

NASAの事故により宇宙で採取した異星由来の生命体のサンプルがメキシコ上空でバラまかれてしまい、この「外来種」に汚染された地域が封鎖されている。主人公である報道写真家は、とある女性をエスコートしてこの地域を突破し、米国国内に帰らなければならない羽目になる、という話。

地球に襲ってきたエイリアンというのではなく、たまたま外来種に汚染された、というアイディアはとてもユニークだし、面白い。この生き物がたまたま環境に適合して、独自の生態で繁殖しているわけである。

また、大きくなったイカの化け物ようなモンスターは、封鎖された地域の外で暴れて街を壊したりするのだが、人々がその様子を普通に報道番組で観ていたり、何か、不可抗力の災害のように見ている様子もとても面白い。明らかに異常事態であり、非日常な状況なのだが、その「非日常」が「日常」になってしまった本作の世界観は、どこか、原発災害後の日本の現実と二重写しにならないでもない。また、米国とメキシコの国境に、万里の長城のような高い壁が築かれているというのは、なにか、不法移民問題に関する暗喩であろうか。アメリカがばらまいた種なのに、ね。

・・・と、まあ、発想や設定は面白いのだ。そして、これを男女二人の脱出行、ロードムービーとして仕立てようというアイディアも良いと思うのである。

しかし、この映画の良いところはそこまでだ。だいたい、スリルもない、サスペンスもない、アクションもない、ドラマもない。これでどうしろというのだ。話の運びそのものにも工夫がなくて行き当たりばったり。キャラクターの言動に一貫性がないし、そもそも、男女二人のキャラクターも魅力がない。怪物の見せ方も、デザインもつまらない。

そんなわけで、たかだか94分の作品であるが、2時間半には感じられるほどの体感時間。1時間を越えたあたりから、ただひたすら早く終わってくれるように祈りながら観ていた次第である。

まあ、本作は監督自ら脚本を書いて、撮影も、美術も、特撮もこなした低予算映画だから、いろんな意味で限界はあるのは分かる。本作に対する評価も、低予算のわりには頑張った、というレベルの話と、エイリアンの侵略もの、巨大生物ものに新鮮で今日的なアイディアを持ち込んだというところへの賛辞であって、それ以上のものではないように思う。

で、改めて、ゴジラ、大丈夫なんだろうか。あんまり期待できないんだが。。。

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