8/15/2011

The Mechanic

メカニック(☆☆☆)


続編希望、としておきたい拾い物である。

『狼よさらば』のマイケル・ウィナー監督&チャールズ・ブロンソン主演コンビによる1972年作を、同作のプロデューサーであるアーウィン・ウィンクラーとロバート・チャートフのそれぞれの息子、デヴィッド・ウィンクラーとビル・チャートフがプロデュースした本作。今回は『コン・エアー』でデビューしたサイモン・ウェストが久々の監督、主演は、いまやアナログ系なアクション映画の顔と言っても過言ではないジェイソン・ステイサムだ。

正確無比な仕事ぶりの殺し屋が、恩人であり友人でもある男の殺害依頼を発端にして、私怨で反撃をしていくことになる。そこに、恩人の忘れ形見を弟子として育てていくエピソードが絡み、避けられぬ師弟対決へと突入していく。

タイトルの「メカニック」、というのは、正確無比な仕事をする主人公ら、殺し屋を差していう言葉である。主人公に対する仕事の依頼が、ウェブサイトの「メカニック求む」という求人欄に流れているのが笑いどころかもしれない。

さてこの映画、なんといっても、複数の殺しのアサインメントを重ねていく構成が小気味良い。冒頭、主人公のプロフェッショナルぶりを見せつける仕事があり、ドナルド・サザーランド扮する友人を抹殺することとなる仕事があり、弟子の免許皆伝のための同業者殺害があり、2人で組んでカルト宗教の教祖の抹殺がある。これら一つ一つ、シチュエーションが異なり、殺し方が異なり、バラエティに飛んでいる。本題となる組織への反撃や師弟対決は、それらひとつひとつのステージをクリアしたあとの話だ。

サイモン・ウェストの過去作には『コン・エアー』、『将軍の娘』、『トゥームレイダー』等がある。どれも刺激的な映像を編集でつないでごまかしているだけという印象で感心したことがなかったのだが、本作の仕事ぶりはひと味違う。ビッグバジェットのイベント的映画という重圧から解放されたか、体脂肪率の低い脚本ゆえか、無駄のない筋肉質の演出で盛り沢山な内容を93分にまとめる職人ぶり。これを見ると、次回作に決定した『エクスペンダブルズ2』への期待も高まろうというものだ。

弟子を演ずるベン・フォースターのへたれぶりと、組織のトップを演ずるトニー・ゴールドウィンの卑怯者っぷりは、過去の作品等のイメージによる先入観を裏切らない。見た目だけで説明不要というキャスティングは、この手の映画では重要なことだと、改めて感じさせられた。

0 件のコメント:

コメントを投稿