10/30/2011

Cowboys & Aliens

カウボーイ&エイリアン(☆☆★)


西部劇とSF 、一見ミスマッチな2大ジャンルをクロスオーバーさせたコミック原作ものである。タイトルで想像されるほどにはフザケてもいないし、弾けてもいない。もう少しユーモアがあるほうが個人的には好みだが、予想外に直球を投げ込んできた感じである。

ゴールド・ラッシュの波が通り過ぎて寂れたとある西部の町が舞台になっている。ある日、突然現れた謎の飛行物体に攻撃を受け、幾人もの人々がどこかに拉致されていく。恐ろしい事件に遭遇した街の人々や流れ者の犯罪者、近隣の原住民たちは、立場を超えて一時的に団結し、資源の略奪と人類の殺戮を目的とする異星人たち立ち向かっていく、という話だ。

こういうたぐいの話では、ジャンルの衝突もさることながら、当然、「圧倒的なテクノロジーを持つ敵」と、「原始的な武器しか持たない人類」との対比が面白さの源泉である。常識的には圧倒的に不利な立場であるものたちが、「知恵」なり「勇気」なりを武器として相手の弱点(ここでは「光に弱い」ことなど)をついて戦い抜き、確立論をひっくり返すところにカタルシスがうまれる、それがエンターテインメントにおける王道というものだ。

しかし、この映画では、それができていないんだな。致命傷といっていい。死ぬほどたくさんクレジットされているストーリー&脚本担当者の誰の責任かは知らないが、これにOK出しちゃいかんよ。

敵に直接対抗できるのは、結局のところ、主役のダニエル・クレイグが腕に装着している敵由来の兵器だけなのである。あとは戦術もなにもない。ともかく力づくで戦うだけっていうのだから、これじゃあ、面白くなりようがない。相手が宇宙人でなくてもいいんじゃないのか、あるいは、西部劇でなくてもいいんじゃないか、という感想がよくきかれるが、でてくる理由は、そこにあるミスマッチ感やテクノロジー・ギャップを活かしたお話作りができていないからであろう。

敵は単なる資源泥棒で、資源を奪うためにはその星の住民を滅亡させることを厭わない、かなり単純な「絶対悪」として描かれている。終盤、主役に恨みを持つ個体が登場する場面を例外として、個性も何もない平板な描写。別に、敵が資源を略奪せざるを得ない哀しい事情を描けとは言わないが、もう少し興味を持てる描写があってもいいだろう。

それに比べると、人間側はわりと丁寧に描かれていて、中心的キャラクターのみならず、脇役にいたるまでキャラクターが立っている。このあたりは、j脚本だけでなく、これまでの作品でも見せてきたジョン・ファブローの演出による部分も大きいだろう。ハリソン・フォード扮する町の実力者が、ストーリーの進展と共にイメージが変わっていくところなどはなかなか見事なタッチで描かれていて、きちんと伝統的なドラマが成立しているのが泣かせる。ヒロインのオリビア・ワイルドが、『トロン・レガシー』のときの魅力はどこへやらといった感じで残念だった。

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