10/01/2011

Fast Five

ワイルド・スピード MEGA MAX(☆☆☆)


シリーズでは1作目に次いで2番目に面白い。魅力のある敵役として(WWEのザ・ロックこと)ドゥウェイン・ジョンソンを投入するカンフル剤、ストリート・カーレースから犯罪アクションへと比重を移したフランチャイズの方向づけがうまく絡み、気楽に楽しめる娯楽アクション映画に仕上がった。3作目からシリーズを任されている監督ジャスティン・リンも、いくつかの勢力が入り乱れる物語を要領よく裁いてみせ、回を重ねるごとに腕を上げてきているようだ。

・・・で終わりにするのも何なので、雑談を。

これ、同じシリーズでも原題がいつも変化球なんだよね。

『The Fast and The Furious』からヴィン・ディーゼルのいない『2 Fast 2 Furious』はちょっと面白いアプローチだと思ったが、番外編的(で、現在、4,5,6?作目の後日談と位置づけられている)3本目は平凡に『The Fast and The Furious:Tokyo Drift』だ。このときは、このまま、サブタイトルをいれかえて、安いビデオ映画シリーズにでも仕立てていくつもりだったのかもしれない。オリジナル主演者のキャリアが傾いてきたのも手伝って、まさかの再集結となった4本目は仕切り直しっぽく定冠詞抜きの『Fast & Furious』ときた。

で、『Fast Five』だよ。

Five は5本目の「5」だとは思うんだけどさ。"Fast" っていうシリーズじゃないし。・・・まさか「早い5人」なのか?ヴィン・ディーゼルとポール・ウォーカーとジョーダナ・ブリュースターと、タイリース・ギブソンと、サン・カンで5人?死んじゃったヤツや、面白黒人は?ロック様は?現地の美人警官は?いったいどこまで数に入れてもらえるんだ?

国によっては、写真にあるように『Fast & Furious 5』なんだよな。やっぱり、わかりにくいもんな。

こうなると、興味の中心は6本目がどういうタイトルになるか、である。まさかのまさか、誰かさんの復活で「Fast Six」とかな。

ついでに、メガ盛り状態になってきた邦題もそろそろ限界じゃあるまいか。順当にGIGA MAX か。メル・ギブソンが客演したらMAD MAX とか(それはない)。

とまあ、なかなか豪快に楽しませてくれた本編には文句はなく、違うところが気になって仕方がないのである。

真面目な話、フランチャイズの可能性を広げるための判断として、ストリート・カーレースのカルチャーから少し距離をおき、大型犯罪アクションへと舵を切った映画会社の判断は、慧眼だったといえる。方向を変えるといっても、もともと「犯罪捜査の過程でミイラ取りがミイラになるという『ハート・ブルー』」の、「サーフィン」が「カーレース」に置き換わった焼き直しが原点である。だとすると、今回の方向転換は、原点回帰であるともいえるだろう。そこで、今や「家族」になっちゃったポール・ウォーカーに代わり、主人公らにシンパシーを感じつつも対立するポジションに、主人公らに負けない強力なキャストが必要になるのも必然だ。

その、新しい「強力なキャスト」に頭脳派ではなく、肉体派をもってきたんだから、そりゃ、頭は悪いけどドハデな体力勝負映画になるのもまた当然の帰結。へんにCGIでごまかさず、貴重なクラシックカーをガンガンぶっつぶし、街中破壊する。複雑で危険な撮影やスタントも多かったことだろう。そこから逃げなかった作り手の肝の座り具合が、本作の成功の鍵であったか。エンディング後におまけがあって、次回作への導入にしているので、見逃すことのないように。

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