3/07/1999

The Corruptor

NYPD15分署(☆☆★)

NYのチャイナタウンを管轄する署に慣行を破って配属された若き白人警官を迎えたのは、街の実情に詳しくコミュニティからも尊敬されているベテランの中華系警官だった。が、そのベテラン刑事、裏側では街を牛耳る闇の勢力とも馴れ合いのグレーな関係を続けつつ、新たに勢力争いに加わった福建ギャングと果敢に渡り合う。ルールなき街の混沌のなかで、自らもある秘密を隠しながら犯罪と向き合っていく若者。これを演じるのがマーク・ウォルバーグ、チャイナタウンのベテランを演じるのはチョウ・ユンファだ。

のっけから展開される香港風大活劇で我らがユンファ兄貴が大活躍。怪しい鼻歌で。売春宿の手入れに現れるや、いきなり激しい銃撃戦に突入する。カットの短いスピーディな編集で構成されたアクションシーンはなかなかの迫力。狭い室内でのアクションは、香港時代の作品を彷彿とさせ、ハリウッド製香港映画の趣だ。

そんな幕開けだから、単純明快なアクション活劇を期待すると、ドラマはより複雑な様相を呈し、白黒で割り切れない混沌とした現実の中で、それぞれの友情、正義、倫理観が問われていく。え、そういう真面目なドラマだったんですか。でも、そうなるとなおのこと香港ノワールな雰囲気が濃厚だな。

監督はジェームズ・フォーリー、ジョン・グリシャム原作(処刑室)『チェンバー/凍った絆』くらいしか知らないのでなんともいえないが、米国的なルールが通用しないようなチャイナタウンを舞台にして、およそ米国的でない映画を撮ってしまうんだから、度胸がある。

チョウ・ユンファは米国進出後、一番まともな役でその魅力を発揮しているが、英語での台詞まわしには相当手こずっているように聞こえる。これ、本当はものすごい儲け役のはずなんだけどな。マーク・ウォルバーグは元アイドルとは思われぬ地味具合。作品選びをみても本気で役者をやるつもりでいるんだろう。役柄がルーキーなんだから仕方がないとはいうものの、大スター相手に存在感が少々薄いんだよね。

善悪敵味方入り乱れ、誰もがそれぞれの秘密を隠し持っていて、観客にふせられた秘密もある。だから、誰の視点で物語を追っていけば良いのか、少々分かり難い構成になっている面があるのではないか。なかなか物語にのめり込めずに戸惑ってしまった。

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