3/19/1999

Forces of Nature

恋は嵐のように(☆☆)

ベン・アフレックとサンドラ・ブロックが共演する、珍道中系のロマンティック・コメディ。『ライフwithマイキー』を書いたマーク・ローレンス脚本で、監督はこれが2本目のブローウェン・ヒューズ。

結婚式のためにNYからジョージア州・サヴァナに向かう飛行機が離陸時に事故をおこし、機内で知り合った奇妙な女性と別の手段で目的地を目指すことになる。ところが、旅の道中で思わぬトラブルが続いてしまい、目的地はなかなか近づいてこない。そして、出会う人々が決まって「結婚なんて、牢獄のようなもの」などと辛辣なコメントを吐くときた。本当に予定通りに結婚しても良いものかどうか、主人公の決意が揺らぎ出す一方、旅の道連れとなった女性の不思議な魅力にも惹かれていく。

性格や立場の異なる男女が旅の途中で惹かれあうようになる、定番のように見えて、どこか安心できないところが残る話である。主人公は結婚間近。その結婚が「本人の意に沿わない」ものであるとか、「結婚相手が実は不誠実」とか、ワケありだったなら、その結婚を投げ捨て、旅を共にした二人でハッピーエンドを迎えることができる。でも、そこんところがよくわからないんだ。これが男の側の単なるマリッジ・ブルーっていうのでは、映画がハッピーに終わらない。・・・どちらに転ぶにしてもだ。

マリッジブルーのベン・アフレックが、触媒としてのサンドラ・ブロックに出会い、元の鞘に戻ってハッピーエンド、という筋だてはありだけど、そういう方向に話を持っていくのなら、ベン・アフレックの婚約者をもっと描く必要があるし、サンドラ・ブロックとベン・アフレックがカップルになるかのような予感を抱かせる演出は極力避けるべきであろう。原題タイトルが示唆するような、自然の力のごとく主人公の人生を通りすぎていく、不可避なトラブルメイカーくらいの扱いにしておけばよかったんじゃないか。

メインとなるストーリーはなんだか良く分からない不思議なことになってしまっているのだが、飛行機、レンタカーの乗り合わせ、鉄道、長距離バス、ツアーへの便乗、おんぼろ中古車などを経由する珍道中は、アメリカの色々な風景を垣間見ることができて楽しめる。ヴァージニア州リッチモンド、ノース&サウス・キャロライナ州、ジョージア州サヴァナと舞台になる土地を移動しながらロケが行われたようで、その土地の空気が画面に良く出ている。

ただし、旅の起点となるはずのNYの空港は、ワシントンDCのダレス国際空港で撮影されているのが一目瞭然。・・別にいいけど。一瞬、DCが出発点だと勘違いしてしまったじゃないか。

サンドラ・ブロックはここのところあまり似合わない役柄、らしくない作品が続いていたように思う。今回は久しぶりに生き生きした彼女を見ることができるのは良いことだ。この人は、何でもこなす器用な女優ではない。しかし、隣の素朴なお姉ちゃんとか、彼女が輝ける役柄にはまると、とたんに他の人では出せない魅力が溢れ出す。今回は、そうだな、彼女じゃなくてもいいといえば、いいような気もするが。

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