3/05/1999

Cruel Intentions

クルーエル・インテンションズ

これは、『危険な関係』@プレップ・スクール in N.Y.、という映画なわけですね。

リッチで甘やかされ、暇を持て余している義理の兄セバスチャンと妹キャスリン。今回、セバスチャンが狙いをつけた学園理事の娘アネットは真面目で、いかにも結婚まで処女を守るタイプ。セバスチャンが年度の終わりまでに彼女を攻略できなければ所有するポルシェはキャスリンのもの。攻略できれば、キャスリンの体はセバスチャンのものだ。

モラルの狂った義理の兄妹にライアン・フィリップとサラ・ミシェル・ゲラー。賭けの対象にリース・ウィザースプーン。その他、セルマ・ブレアー、ジョシュア・ジャクソンらが共演。脚本・監督はロジャー・カンブル。

この作品、かなり「拾いモノ」。

もちろん、「ティーンもの」にしては刺激の強い内容が物議を醸しているけれど、道義的に狂った人間はきちんと処罰されて終わる、という教訓を持っている意味で、本質的にはモラリスティックな話である。そうはいっても、売れっ子の若手(といっても20はとうに超えている)俳優たちをつかってこの話をやるというのは、商業的には面白い選択だし、企画としてはチャレンジングといえるんじゃないか。

新人ロジャー・クンブルの演出にはデビュー作の気負いもあるにせよ、独特のスタイルとリズムがあって心地よいし、危ない橋をコメディとして渡り切るそのセンスはなかなかのものだ。刺激的ではあるが、エゲツナイ直接描写は巧妙に避け、視覚的には何もないうちから、台詞とシチュエーションだけででエロティックな雰囲気を盛り上げる。

『バッフィ』の人気者、サラ・ミシェル・ゲラーの安っぽい魅力が、キャスリン役にドンピシャとはまり、彼女の映画における代表作ができた。ライアン・フィリップは中性的、メトロセクシャルな雰囲気が面白い。その彼がいつしか本気になってしまう相手が、それほど美人とは言い難いリース・ウィザースプーンっていうのはどうかと思うが、個人的には贔屓にしているので問題なし。セルマ・ブレアーは、この中では一番年上の女優なのだが、この人の振り切れたコメディ演技は間違いなく、本作の笑いどころである。

学園物ではあるが、裕福な家庭の子弟が通うプレップ・スクールという設定で、リアルなハイスクール・ライフを描くのではなく、浮世離れした「寓話」として描いているかのような雰囲気に独特のものがある。既成の最新ヒット曲とエド・シャーマーの手になる現代的なインスト曲を自在に使い分けた音楽も楽しい。サントラ、結構、売れるんじゃないのかな。

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